有明海に面した島原半島で、サステナブルな食の形を目指すムーブメントが起き始めている。
島原育ちの井上稔浩さんは「信頼できる地元農家の野菜、島原湾の海の恵みを料理で皆さんに楽しんでもらうことで、生産者の営みを持続できたら」という思いで地元で「pesceco(ペシコ)」を開業した。
彼が故郷への思いを込めて名付けたコース“里浜ガストロノミー”を味わいに首都圏からも多くの人が訪れる。
長崎県島原市、静かな海辺の通りで土地の豊かさを提供する「pesceco」をご紹介。
島原の力のある素材をより豊かに魅せるコース
◆pesceco(ペシコ)
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静かな海辺の通りに建つミニマルな店構えは、島原の美食でゲストを魅了する劇場のようだ。
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地元の海で獲れるガネ(ワタリガニ)は、ミソと甲羅でとったダシを煮詰めたソースを素麺に和えて。身と内子は別添えにし、そのままの風味を味わえるように。
右:イシダイとムラサキウニを合わせた一品。赤玉ねぎと酸味を付けた米がアクセントに。
目にも楽しい11品の“里浜ガストロノミー”コースは、島原の食材を知り尽くした井上シェフの真骨頂。
以前は市内の路地裏でイタリアンを営んでいたが、目指す形とは違うとこの場所に移転。彼の中には地元の生産者との繋がりで料理を表現したいという思いがあった。
右:扉を開けると島原の海の絵が迎えてくれる。予約は2カ月先から受け付けるので、旅の計画が決まったら早めにオンラインでアクセスを。
「かつて島原にあった、本当の意味での食の豊かさを取り戻したいんです。そのためにも地産地消から一歩進み、志を持って素材を育む人を大事にしたい。
彼らの仕事が残っていくように、料理で付加価値をつけ、地域の魅力になっていけたら」
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美しい、一皿、一皿に映し出される島原の景色を、蒼き海を眺めながら味わいたい。
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pesceco(ペシコ)
所在地 長崎県島原市新馬場町223-1
電話番号 050-3186-4110
営業時間 12:00入店、19:00入店
定休日 日・月曜 不定休
サービス料 10%
※要予約(受付はオンラインのみ)昼、夜 各2組まで
https://pesceco.com/
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Feature
“巡る食”の幕開け
長崎 島原・雲仙
Photographs=Wataru Sato