金沢の伝統を汲み、未来につなぐ文化サロン
◆KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS
KAIKA 東京と同様、地域の文化やアートを大切にしたリノベーションホテルが「KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS」です。
金沢市内中心部のオフィス街の中にあり、近江町市場や尾山神社といった観光名所にも程近い場所に位置する築45年のオフィスビルをリノベーション。
天井に大きく木組みをレイアウトしたエントランスは、広々と街に開かれ、とても印象的です。また、ロビーから続く「KISSA & Co.」は、「お茶を一杯召し上がれ」の意味を持つ茶席の禅語「喫茶去(きっさこ)」を店名の由来とするティーサロン。
地元の作家ゆかりの茶釜や茶道具、器が並び、抹茶や加賀棒茶、お茶を使ったアルコール類、上生菓子やおつまみなどが用意されています。
KUMU 金沢の館内でも、さまざまなアート作品に出会うことができます。金沢の伝統文化を汲み取ったアート・工芸作品を選定・制作し、館内に計13点の作品を設置。その一つひとつが、茶の湯や禅につながる金沢の奥深さに触れるきっかけをゲストに与えてくれます。
客室は6タイプ。どの部屋も木の温もりと和の心が感じられる落ち着いた空間になっています。畳敷きの小上がりスペースを設けた客室もあり、古都金沢らしさが漂う空間で、心静かなひとときを過ごすことができます。
また、館内2カ所に設けられたティーテーブルには炉が切られており、こちらでは少しカジュアルに抹茶を楽しめそう。
オリジナルティーも用意されているので、他のゲストと会話を楽しんだり、情報交換をしたりと、旅先だからこそのコミュニケーションが生まれるフリースペースになっています。
金沢の伝統を“汲む”場所という意味からその名が生まれたというKUMU 金沢。このホテルで過ごす時間が、アップデートされた金沢ローカルの魅力を見つける貴重な機会となってくれそうです。
KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS
所在地 石川県金沢市上堤町2-40
電話番号 076-282-9600
https://www.thesharehotels.com/kumu/
文化財でもあるビルに思いがけないステイの楽しみが
◆TSUGU 京都三条 by THE SHARE HOTELS
KUMU 金沢と同じ建築デザイナーYUSUKE SEKI氏がインテリアデザインを手がけたのが、京都三条にひっそりと佇むTSUGU 京都三条 by THE SHARE HOTELSです。
建物は、登録有形文化財が一部残る、1914年築の旧日本生命京都三条ビル。明治〜大正期の建築文化の面影を残し、建物の魅力と歴史的価値を最大限に活かすよう配慮。一方で、ディテールに和紙などを用い、和と洋が交差するコンテンポラリーな空間が創り出されています。
このホテルの特色の一つが、京都にありながら京都に縛られすぎていないこと。1階には瀬戸内・岡山を代表するアパレルブランド「JOHNBULL」のショップや、瀬戸内産の素材にこだわったカフェ「coffee and wine ushiro」を併設。
「coffee and wine ushiro」のモーニングには、瀬戸内市産の露地で育った旬な野菜や京野菜、自家製の食材や調味料を使用し、自家焙煎コーヒーや厳選したワインを揃えるなど、シンプルでおいしく、からだが喜ぶ安全、安心なメニューが魅力です。
「ushiro」という名が表すように、店内で使用している器の制作背景(うしろ側)まで伝えるなど、細部にまでこだわりがあふれています。
京都の名店グルメもいいけど、京野菜や地元の食材をもっと自由に味わいたい! という人におすすめなのが、調理家電や調理道具が充実したキッチンを備えた宿泊者専用の共用スペース「LIVING+KITCHEN」。
登録有形文化財の尖塔を望む広々とした空間で、錦市場で買い込んだ食材で料理の腕をふるったり、お茶の時間を過ごしたり。初対面のゲスト同士が一気に親しくなれそうな、フレンドリーな空間です。
客室は一人旅にぴったりなスタンダードタイプから貸し切り可能なドミトリータイプまで、バリエーション豊富な11種類が揃っています。中でも目を引くのが、登録有形文化財の建物内での非日常感あるステイを体験できる「JUNIOR SUITE」。
クィーンサイズベッドとダブルサイズのソファベッドを備えながらも、スペースはゆったりと開放的。大正期の建築だけあって天井が高いことも気持ちにゆとりを与えてくれます。自分へのご褒美として京都を旅するなら、ぜひ選びたくなるゲストルームです。
TSUGU 京都三条 by THE SHARE HOTELS
所在地 京都府京都市中京区三条通柳馬場西入桝屋町75
電話番号 075-213-2900
https://www.thesharehotels.com/tsugu/
取材・文=張替裕子