愛する人たちと過ごす時をより豊かに、大切にしたいと、ことさらに願う今、フランスの人々がホテルに求めるものは、大きな空と大地が迎えてくれるおおらかな環境。
広大な敷地で思い切り遊び、くつろぎ、自然を愛でるホテルへ。おすすめの4軒をご紹介。
牡蠣の魅力を伝える場として誕生したホテル
◆Domaine Tarbouriech(ドメーヌ・タルブリエッシュ)

周囲は葡萄畑だというのに潮の香が漂う、南仏オクシタニーの瀟洒な邸宅ホテル、ドメーヌ・タルブリエッシュ。
すぐ近くには地中海のラグーン、トー湖が広がり、ホテルのオーナー一家の牡蠣養殖場もある。

長い間「地中海の牡蠣は美食のテーブルに登らぬ」と言われたジンクスを覆し、潮の満ち引きのない地中海に自然エネルギーで干満を作り出し、誰もが認める濃厚な旨みのある牡蠣養殖に成功したのが、ホテル創業者の一家だった。
右:母屋のスイートから、ワイン作りの跡を偲ばせる木製の葡萄圧縮機と葡萄畑の眺め。
60年代に牡蠣養殖を始めた父の跡を継ぎ事業を成功に導いた2代目は、今は子どもたちと共に牡蠣の成分の研究から「オストレアテラピー」という美容と健康の処方を見出し、地域の健やかな生態系や伝統を守るべくエシカルな循環経済の推進に力を注ぐ。

その核となる、牡蠣の魅力を伝える場としてホテルは誕生した。

新鮮な生牡蠣はもちろん、タイやマグロなど地中海の恵みを南仏流のあしらいで味あわせるレストランでは、地元ラ
ングドックのワインを添えて。

ホテル自慢の広々としたスパでの、牡蠣由来のオリジナルコスメを使ったエステもホテルならではの体験だ。
翌日は、是非ともラグーンに繰り出して牡蠣養殖の現場を覗いたり、ホテルがあるマルセイヤンの町の、小さな港の風情を楽しみたい。

Domaine Tarbouriech(ドメーヌ・タルブリエッシュ)
所在地 Chemin de Villemarin, Marseillan, France
電話番号 +33 4 48 14 00 30
客室数 14室
料金 ロッジ・タルブリエッシュ 199ユーロ~、シャンブル 209ユーロ~、スイート 239ユーロ~
https://www.domaine-tarbouriech.com/

Feature
“新ラグジュアリー”に和む
フランスの週末ホテル旅
Text=Chiyo Sagae
Photographs=Yuji Ono
Cooperation=Comité Régional du Tourisme et des Loisirs d’Occitanie、Atout France