人気急上昇のブランド「親親JIUJIU」は日本に進出!

 台湾でのメディカルマスク人気を象徴する出来事として紹介したいのが、医療消耗材メーカー・善徳生化科技が製造するブランド「親親JIUJIU(ジュジュ)」の快進撃。この人気ぶりは、医療用マスクの認証を得たことによる支持の高まりと、そのタイミングで大量の新作をリリースしたことが奏功したもの。

 このブランドは、フェミニンな柄物を得意とし、グラデーション、マーブルといった定番からさまざまなフローラル柄、また人気イラストレーターやキャラクターをプリントした商品も並ぶ。最近では、台湾のテキスタイルブランド「印花樂」、日本の「にゃー」とのコラボレーションが話題となっている。

 そんな「親親JIUJIU」の勢いは日本にも及び、この記事の準備中に日本進出が発表された。2月10日(水)に開設された公式Twitterの大反響を受け、急遽、発売を大幅に前倒しして、2月26日(金)に緊急輸入分を発売。開始時刻から飛ぶように売れていった。

 発売元OCTAVOによると「当初の予定では、クラウドファンディングで支援を集め、認知度を高めて、4〜5月から販売する計画でした。しかし情報発信のためのTwitterを開設したところ“すぐに欲しい!”という声をたくさんいただき、販売時期を大幅に前倒しすることになりました」とのことだ。

 日本では、まずは24種類の展開で、このうち3種類は子ども用。いずれも暫定的に台湾のパッケージに日本語のシールを貼って販売されている。

 また、台湾の成人用マスクの標準サイズである17.5センチ幅は、女性には大きすぎるとのコメントを受け、14.5センチ幅の小さめサイズを日本向けに発売することも決定。まずは人気の高いグラデーションシリーズから着手し、4月中の発売を目指しているという。

 その他、人気投票によって決定した5つの新作は、一般発売に先立ち、現在予約を受付中。単色のビビッドカラーも3月末〜4月上旬には販売開始予定……と怒涛の展開を見せる。

 販売ルートに関しては、サイズ変更やパッケージなどの販売体制が整うまでは自社ECサイトのみで展開、大手ショッピングモールへの出店も検討中だ。

どうなる? 台湾マスクマーケットの今後

 直近の台湾マスク事情としては、春節などの季節行事が落ち着いたこともあり、毎日のように新作が出ていた年末年始に比べると、勢いはやや失速気味。

 モチーフに関しても、すでに何でもあり状態。非医療用の不織布でいえば、市場で使われるナイロンメッシュのトートバッグ“茄芷袋”柄、果ては台湾のお札柄まで登場しており、行き着くところまで行った感がある。

 新展開としては、國光バスのツアー客用のバス柄マスク、ヨーロピアン・スクールの校旗入りなど、企業や団体によるカスタム系の台頭。つい先日も、屏東県が低所得者にメディカルマスクを寄付するチャリティイベントを開催し、県内で生産される7種類の果物をモチーフにしたプリントマスクを制作、そのポップなデザインが話題に。こうしたイベントユースの流れを汲み、今後は広告や宣伝用のロゴを入れたノベルティマスクも出てくるように思う。

 また、大御所ミュージシャンたちが、コンサート開催時に不織布マスクを配布しているのもユニークな取り組みだ。「五月天」は、幻ともいわれるCSDのマスク、アルコールシートとレインコートを入れた防疫セットを配布。

 「謝金燕」のコンサートでは、CSDのマスク配布と入手困難な自身のコラボマスクの購入権が特典に。「伍佰」は、公演に先立って、MOTEXとのコラボによるプリントマスクを発売した。

 マスク着用義務のある環境下でも気分を上げる工夫、また、プレミア感あるマスクを配布し、一体感を楽しむツールとして活用する手法は、マスク先進国ならでは、といった印象だ。

 そんなふうに、デザインの自由度が増していく一方、一周回って落ち着いた色味に戻っていく予感も少々。

 また、圧倒的人気を誇るCSDが流通量を増やしてきたのも、今後のトレンドを左右しそうだ。もしかすると、プリント柄に関しては、淘汰が始まり、今ほどの選択肢はなくなるかもしれない。

 そう思うと一層眩しく見える「Made In Taiwan」印のプリント柄メディカルマスク、次ページからのギャラリーをとくとご覧あれ!

2021.03.16(火)
文=堀 由美子
撮影=深野未季