進化を続ける台湾製メディカルマスク

 最後に、画期的な進化系メディカルマスクをご紹介したい。

 日本でも“鼻出しマスク”が問題となっているが、もともとプリーツマスクは正しく着用するのが意外に難しい。特に女性は、成人用の標準サイズは大きすぎ、頬の部分に大きなたわみが出来る。それを防ぐべく顎まで伸ばすと、今度は全体的にスカスカとなって顔から浮いてしまう。

 実のところ、このサイズ感に関しては、台湾は出遅れていて、ステープラーで綴じて小さくするなどの個人的な工夫に頼る部分が大きい。前出の「JIUJIU」の日本代理店OCTAVOが小さめサイズを準備中というのは、細部にこだわる日本らしい対応だと感心する。

 一方、フィット感に関しては、早くから取り組んできたメーカーがある。医療消耗材大手のMOTEX社だ。プリーツマスクに縦方向のタックをつけ、口元の空間を確保する“ダイヤモンドシェイプ”のマスクで知られ、コロナ禍以前には日本でも一部商品を発売している。

 今、注目したいのは、その“ダイヤモンドシェイプ”に、頬の空間を塞ぐウイングと幅広のノーズワイヤーをつけることで密着度を高めた「氣密式醫療用口罩(気密式ダイヤモンドシェイプマスク)。頬に隙間ができやすい人、よりリスクの高い場所へ出かけるときに適したマスクだ。

 台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)は、2020年の国慶節のギフトとして、このマスクを選出したという。

 また、2020年10月に行われた台湾メディカルヘルスケア見本市(台北国際醫療暨健康照護展)のMOTEX社ブースで人々の関心を集めていたのが「吸食吹哨口罩(ストロー&ホイッスル用マスク)」。

 折しも日本では“会食はマスク着用で”との提唱があった頃。これは隠し穴をつけた設計で、マスクを外したくない環境下での水分補給、またホイッスルが不可欠な警備職の人に向けて開発されたという。ストローやホイッスルを外せば、穴は自然に閉じる仕組みとなっている。

 色柄が気分を上げるメディカルマスク同様、こうした商品が日本でも手に入るようになれば、マスク生活下でのプレッシャーがいくらか軽減するかもしれない。

 色柄のメディカルマスクがじわじわと浸透しはじめ、安価な輸入物も目立ってきたこの頃。少々値が張るものの、できれば安全性の高い台湾製を選んでほしいと思う。

 その際に確認してほしいのは、台湾製造であることを示す「Made In Taiwan」、メディカルマスクの認証の印「MD」の刻印だ。「ただしMD」の刻印に関しては、2020年9月23日(水)以前に製造されたものにはない場合もある。購入の際には、こうした点に留意し、コスパやファッション性が、防疫という本来の目的より優先されることがないよう願いたい。

2021.03.16(火)
文=堀 由美子
撮影=深野未季