有名人シェフ・アンドレア・マトランガの「感動する料理」

2012年「シチリアの100人の名士」にも選出されたアンドレア・マトランガ氏

 コンセプトのある美しい料理で知られる、シチリア島パレルモ出身のアンドレア・マトランガ氏。世界的なリゾート・グループ「Valtur」や「MEDITERRANEE」のエグゼクティブ・シェフとして活躍し、ヴァカンスに訪れる世界中のセレブリティから「世界の最高の料理」と評された経験をもつ一方、イタリア国営放送局Raiの人気料理番組「La Prova del Cuoco (シェフの挑戦)」に長い間出演し、グルメ主婦層のハートをがっちりつかんでいるイタリアの有名人シェフのひとりです。

「アル・カステッロ」で披露した料理。シチリアのブランド豚、ネブロディ山脈の黒豚、ブロンテ産のピスタチオ、ピエモンテ産ノッチョーラのオイルや黒トリュフなど、ピエモンテ×シチリアの美味を融合させた逸品

 アンドレア・マトランガ氏は、イタリア各地で行われる重要なイベントにも欠かせない人物。イタリア統一150周年の年には、イタリア統一を果たしたサヴォイア家のお膝元、ピエモンテ州のミシュラン星付きリストランテ「アル・カステッロ」で開催された記念祝典に、ゲストシェフとして招待され、ディナーを担当しました。同リストランテのシェフであり、自身の友人でもあるアレッサンドロ・ボリオーネ氏とコラボレートし、ジュゼッペ・ランペドゥーサ原作、ヴィスコンティ監督の名作映画「山猫」からインスピレーションを受けた料理を披露。その料理のコンセプトは、「もし、グルメで知られるシチリア王国のプリンチペ・ディ・サリーナが、カブール首相を招待したら?」。かなりマニアックですが、イタリアの知識層にはすぐにわかる、イタリア統一記念イベントならではのコンセプトで話題になりました。

「La scogliera e suoi elementi ~岸壁と彼らを構成するもの~」。詩的な名前の付いた代表作。幼いころ、夏を過ごした海の思い出を料理に……岸壁に打ちつける白い波頭と、そこに生息する貝などを表現

 また彼の料理は、厳選した食材を使った美しい料理にとどまらない、エンターテイメント性の高さが特徴。「なぜこの料理が作られたのか、なぜこの食材を選ぶのか、僕の料理にはいつも理由がある。そして、その料理の裏に隠されたストーリーが、食べたときの感動をより深いものにする。五感に加えて心を感動させる料理を目指している」。そんな彼の料理が、日本でも体験できるようになります!

イタリアの有名料理雑誌「イタリア・スクイシータ」でもシェフの日本進出が話題に

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