コロナ禍の中で歌舞伎にかける想い

――染五郎さんは2021年1月現在、歌舞伎座で上演されている白鸚さんと幸四郎さんと親子三代による『車引』に出演中、團子さんは2020年新春にやはり歌舞伎座で猿之助さんと『連獅子』を踊っています。古典の大切な役を演じる場が少しずつ増えていますが、今、どんな思いで舞台に立たれているのでしょうか。

 染五郎 本当にありがたいと思います。正直、今の自分なんかがさせていただいていいような役だとは思いません。まだまだ勉強中ですから。今は以前のように誰もが安心してお芝居を観られるような状況ではありませんが、だからこそ、歌舞伎のエネルギーというものを感じていただけるような舞台をお見せできるよう、精一杯やらなければと思っています。

 團子 いっくんに比べたら僕はもう経験が全然足りていません。それでも『連獅子』をやらせていただき、その時に振りに感情を入れるということを学びました。形がきれいなのはもちろん大切ですが、それだけでは人の心は動かせない。心を磨けば身体もついてくると思っているので、そこに重きをおいてやっていきたいと思ってます。

 梵太郎と政之助に限らず、これからさまざまな役と共に歩み続けるおふたりの、輝く未来に期待は高まる一方です。

●コラム「父への“突っ込み”も芝居のうち!」

 染五郎さん、團子さん同様に梵太郎と政之助は作品の登場人物としても徐々に成長。時に大人をやり込めるようなシーンも挿入され、客席を沸かせています。そしてその格好のターゲットとなっているのが、それぞれのお父様である幸四郎さんと中車さんです。
 その件について「そんなに抵抗はありませんでした。ちょっと気持ち良かったりも、します」という染五郎さんに対して、團子さんは「父に突っ込むのは快感です。ダイカイカン!(笑)」。こんなところにもおふたりの個性の違いが現れています。
 年々、突っ込みのキレが鋭くなっており、それは芝居の間合いが良くなっている証拠です。父親とは一線を画した、演出の立場で接してきた猿之助さんも「ふたりとも頼もしい戦力になりました」と、話しています。

図夢歌舞伎『弥次喜多』
(ずぅむかぶき やじきた)

松本幸四郎・市川猿之助のふたりがお騒がせコンビ“弥次喜多”を演じるあの大人気シリーズが、最新作を引っ提げオンラインに初登場。これまでの舞台中継ともシネマ歌舞伎とも異なる、かつてない歌舞伎が誕生! 
配信元 Amazon Prime Video(国内独占レンタル配信)
配信時間 111分
レンタル料 1,900円(税込)
https://www.amazon.co.jp/kabuki/


●シネマ歌舞伎4作品もAmazon Prime Video にて配信中!

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛』
https://www.amazon.co.jp/dp/B08QHR9HWH/
シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』
https://www.amazon.co.jp/dp/B08QHRVYT2/
シネマ歌舞伎『女殺油地獄』
https://www.amazon.co.jp/dp/B08QHR79FR/
シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』
https://www.amazon.co.jp/dp/B08RSGXJ6P/
レンタル料 各1,900円(税込)


●染五郎さん出演中!「壽初春大歌舞伎」

上演期間 2021年1月2日(土)~27日(水)
休演日 1月12日(火)、19日(火)
会場 歌舞伎座
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/698/

2021.01.09(土)
文=清水まり
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=市川染五郎:AKANE、市川團子:森智聖(VRAI Inc.)
スタイリスト=中西ナオ