庭との出会いで背中を押され、訪れるたびに、教えや安らぎ、感動をもらってきたという盆栽師の平尾成志氏。
彼の感性を奮わす庭園の奥深さに触れる旅へ。おすすめの庭園を3カ所紹介。
盆栽のお手本のような麗しい巨木の存在
●清泰山 西善寺(せいたいざん さいぜんじ)
秩父・西善寺の庭にある樹齢600年のコミネカエデは特別な力を秘めた木。
「木が優れているかどうかは葉が落ちた裸の時に一番分かるんです。僕が見たのは冬の時期。
枝一本一本がしっかりしており、コケ順といって幹が上に向かっていくにつれて細くなっており、盆栽では理想の姿です。木が横に広がっているのは、地中に大きな石があるのかもしれない。
盆栽でも深い鉢に植えると上に育つので、浅い鉢に入れて横に伸びるようにします。この木には盆栽が目指している佇まいがすべてある。600年の歴史の移り変わりを見続けてきた懐の深さも感じます」(平尾成志さん)
清泰山 西善寺(せいたいざん さいぜんじ)
所在地 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬598
電話番号 0494-23-3413
開園時間 9:00~16:00(札所参拝 8:00~16:00)
料金 拝観料 100円、撮影料 200円(三脚使用の場合は300円)
https://www.saizen.or.jp/
●紹介してくれたのは……
平尾成志
盆栽師。1981年徳島県生まれ。2003年に埼玉県の盆栽園、蔓青園に入門。修業の後、海外で活動し'13年に文化庁の文化交流使として世界11カ国を回る。’16年に成勝園を開園。著書に『異端の盆栽師 平尾成志の世界』がある。
Feature
平尾成志・盆栽の小宇宙
その背後にある創造の「庭」
Edit & Text=Natsuko Umezaki
Photographs=Wataru Sato