庭とアートは相性がいい。それはそうだ。どちらも目で観て、五官で味わうことで人の感情を自在に操るものなのだから。

 アーティストと自然が伸び伸びとコラボレーションし、また美術館と庭が見事に融合した贅沢な場所を見てみよう。


由緒正しき庭園で庭が主題の展示を観る

◆東京都庭園美術館

 今が21世紀で、ここが東京の中心部であることを、すっかり忘れてしまいそう。

 東京都庭園美術館を訪れ身を浸していると、そんな気分に襲われる。

 何しろ作品が展示されているのは、1933年竣工のアール・デコ様式のお屋敷。

 旧朝香宮邸であり、戦後は吉田茂外相・首相公邸や、国賓・公賓を招く迎賓館として用いられた。その後1983年から、美術館に転用されることとなる。

 建築物自体が壮大な作品ともいえる環境でアートに触れる体験は格別だ。しかも、建物を取り囲む空間もまた華麗。

 2階のベランダからも見下ろせる芝庭は、一面が青々とした芝生で覆われ、ムクノキの大樹が守り神のようにそびえる。

 その奥、往時は宮内省官舎があったという場に築かれているのが西洋庭園。さらには築山と池を備え、起伏に富んだ日本庭園もある。

 この秋は、館内で開かれる企画展も、庭にまつわるものが用意されている。

 「生命の庭─8人の現代作家が見つけた小宇宙」というタイトル通り、第一線で活躍するアーティストたちが、作品を通して独自の自然観を披露してくれる。

 庭とは自然を素材として、人為によって築かれるもの。

 アート作品もまた、自然から発想やモチーフを得て、人の手が生み出すもの。

 庭とアートはよく似ている、というより、同じ営みを違う角度から眺めたものかもしれない。

 そう気づかせてくれる展覧会となりそうだ。

東京都庭園美術館

所在地 東京都港区白金台5-21-9
電話番号 050-5541-8600
開館時間 10:00~18:00(最終入館は17:30)
休館日 第2・第4水曜日(祝日の場合翌木曜)、年末年始
料金 展覧会により異なる
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

●企画展「生命の庭—8人の現代作家が見つけた小宇宙」
期間 2020年10月17日(土)~2021年1月12日(火)
企画展料金 1,000円

Text=Hiroyasu Yamauchi
Photographs=Takashi Shimizu

この記事の掲載号

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