花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった新しい花との付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。


2020年ハロウィンは“黒”でキメて!

 10月31日はハロウィン。かぼちゃで作ったランタンを家に飾ったり、子供たちがお菓子をもらいに近所を回ったりして、秋のイベントとして日本にもすっかり定着しました。

 花のハロウィンアレンジメントも色々と登場していますが、かぼちゃやオバケのキャラクターを使ったオレンジ色のアレンジメントは、大人向けにシックに作ることが難しく、実は自分も苦手で避けている部分がありました。

 しかしオレンジとともにハロウィンで使われる“黒い色”に着目したことで、ガラッとイメージが変わりました。

 黒は、お葬式や「腹黒い」などの表現に使われ、日本ではあまりイメージがよくありませんが、海外では肯定的なイメージで、黒を上手に生活に取り入れているんです。

 そして、黒は今年のトレンドカラーでもあります。

ファッションのトレンドを花にも!

 パリで発表された2020年から2021年の秋冬シーズンのコレクション。「セリーヌ」「ジバンシィ」「サンローラン」などの多数の人気ブランドがファーストルックに、頭からつま先まで黒でまとめたオールブラックのスタイルをチョイスしました。

 今年のハロウィンアレンジメントには、トレンドの黒を取り入れてみてほしいのです。

 なぜファッションのトレンドを花に? と思う方もいるかもしれませんが、実は私は、大学卒業後は株式会社三越(現三越伊勢丹ホールディングス)に就職し、その後花の世界に飛び込みました。

 花をアレンジする中でも、ファッション業界で培った「トレンドを意識すること」を常に大切にしています。

 もちろん花業界にもトレンドはあるのですが、ブームになるような大きな流れはむしろ花業界の外からもたらされることが多々あります。

 例えばハーバリウムは、花業界が意図してブームを作ったのではなく、インテリア関連のSNSの投稿などから火が付き、それを花業界が追いかける形でブームになりました。

 花のアレンジに、他業種のトレンドを組み合わせると、ぐっと今っぽくなります。

 その際は、ぜひ旬の花をチョイスしてくださいね。旬の花は、美しいだけでなく、丈夫で長持ちし、ハウス栽培ではない露地モノなどが出回るため、価格が安くなるのも魅力です。

 では、黒を主役にした大人なハロウィンアレンジメントの作り方をご紹介していきます。

2020.10.08(木)
文=佐藤俊輔