バンクシー作品を知るキーワード
強いメッセージ性を感じるバンクシーの作品。それを楽しむ上で欠かせないキーワードをご紹介しよう。
●反消費主義
《キリスト・ウィズ・ショッピング・バッグズ》は、慈悲・寛容・感謝のための聖なる祝日が、一年最大のショッピングデーになってしまっている現代を風刺した作品。
多くの人が心のどこかで“おかしい”と感じている消費社会への皮肉をストレートに込めたバンクシーの一連の作品群は、痛快ですらある。
●愛
1998年、バンクシーがステンシルで描いた《ボム・ラブ》。無邪気な笑みを浮かべる少女に抱きしめられたら、その愛情によって爆弾だって無力化できるかもしれない。
愛こそが戦争を超越できるかもしれないのだ。バンクシーは言う、「世界をよりよい場所にしたがる人間ほど、危険なものはない」と。
●反戦
アメリカの消費カルチャーを象徴する2つのアイコンと手をつないでいるのは、ベトナム戦争の残酷さを伝えたあの写真のなかの少女。
見る者に衝撃的な印象を与える《ナパーム》は、バンクシーの反戦への意思を伝える代表作のひとつ。
画面全体に醸し出される何とも言いようのない不気味さと邪悪さが胸に迫りくる。
●反権力
政治、権力への皮肉もバンクシーの作品に多く見られるテーマ。
かの有名な女王陛下を連想させる《モンキー・クイーン》をはじめ、英国下院議会にサル議員が集まる様子を描いた《モンキー・パーラメント》なども展示。
このサル議員たちを選んだのは、私たち有権者であることへの皮肉も……。
●慈善
難民の生活に不足しているものが下着であることから、有名人がパンツをオークションに出品して難民支援をするチャリティに賛同して制作された《ベリー・リトル・ヘルプス》。
バンクシーは、きれいなパンツが見つからなかったので、代わりに自宅トイレのドアに描いたこの作品を提供したという。
Edit & Text=Shojiro Yano
Photographs=Atsushi Hashimoto