“富士屋ホテルらしさ”を継承し 新たな価値を創造

 約2年間に及ぶ耐震補強や改修工事などを経て、142年目の創業記念日となる2020年7月15日(水)に「富士屋ホテル」がグランドオープンした。

 長きにわたる伝統と歴史的意匠を今に継承する、箱根を象徴するクラシックリゾートホテルだけに、このオープン日を待ちわびていたファンも多いはず。

 歴史的意匠を守りながらも快適性を高め、より魅力的に生まれ変わった「富士屋ホテル」から、今回は特に注目すべき施設をご紹介!

 まず注目したいのは、まるでタイムスリップしたかのような気分に浸れる、和洋折衷の趣ある客室だ。

 1891年(明治24年)建築の「本館」(登録有形文化財)に12室、1906年(明治39年)建築の「西洋館」(登録有形文化財)に21室、1936年(昭和11年)建築の「花御殿」(登録有形文化財)に40室、1960年(昭和35年)建築の「フォレスト・ウイング」に47室。

 総客室数は120室で、それぞれの建物ごとに建築様式や内装が施されているのが最大の特徴といえる。

 なかでも「本館」同様に関東大震災の被災を免れ、明治時代の面影を最もよく遺す建物「西洋館」は、今回の改修工事の過程で大正時代のものと思われる漆喰壁の色が判明。一部の客室に、その色(桃色)を忠実に再現したという。

 フォレスト館から名称を変更した、敷地の高台に位置する「フォレスト・ウイング」の客室は昔の姿、雰囲気を尊重し改修。

 近代的な建物でありながら、和のテイストを取り入れ、落ち着いた雰囲気を演出している。

 さらにこの「フォレスト・ウイング」の最上階には、スパ&リラクゼーションが新設されたので要チェックだ。

 新設されたスパ&リラクゼーション施設が利用できるのは宿泊ゲストに限られるので、ゆったりと癒しの時間を過ごすことができる。

 大きな浴槽からは箱根外輪山の雄大な姿が一望のもと。四季折々の自然を感じながら、箱根七湯に数えられる名湯“宮ノ下温泉”を心ゆくまで堪能したい。

 「富士屋ホテル」といえば、美食の宿としても知られるところ。

 数あるレストランの中、昭和5年から90年間にわたって同ホテルを代表するレストランとして多くのゲストに親しまれているのが、「メインダイニングルーム・ザ・フジヤ」だ。

 この「メインダイニングルーム・ザ・フジヤ」は、1930年(昭和5年)建築の「食堂棟」(登録有形文化財)内にあり、天井約高6メートルの折り上げ格天井には、日本アルプスの高山植物が636種描かれ、欄間や柱も様々な彫刻が施されている。

 今回の改修工事では、文化財補修の専門家によって天井画の修復作業などが行われた。

 ここまで紹介してきたほかにも生まれ変わった施設はまだまだあるので、その全貌はぜひ自分の目で確かめて。

 クラシックカレーパンやアップルパイなどが人気の「ベーカリー&スイーツ ピコット」もリニューアルオープンしているので、ドライブがてら立ち寄ってみても。

富士屋ホテル

所在地 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
電話番号 0460-82-2211
https://www.fujiyahotel.jp/

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文=立花奈緒(ブレーンシップ)