#05 林遣都「火花」の徳永

儚さを秘めた林遣都の容姿が 青春残酷物語と絶妙にマッチ

 「おっさんずラブ」の冷静沈着な牧、「スカーレット」での慌ただしい信作、というふうに幅広い演じ分けが記憶に新しい林遣都。

 彼の役者としての凄みは、ちょっとした表情や仕草でもってキャラクターのニュアンスを演じ切る細かさであるように思います。

 又吉直樹が創出した、「こういう人間です」とはっきりとカテゴライズできない主人公・徳永の“揺らぎ”を演じ切った「火花」を彼のベストワークに挙げたいです。

 美しいけれども、どこか物悲しい顔面、しなやかなのだけど儚いという身体性、そんな林遣都のヴィジュアルが、売れない芸人の10年間を描いた青春残酷物語と絶妙にマッチしていました。

◆Netflixオリジナルドラマ「火花」

出演 林 遣都、波岡一喜ほか
DVD-BOX 15,000円
Blu-ray BOX 18,000円
発売元 よしもとアール・アンド・シー
©2017 YD Creation

2020.06.14(日)
Text=Ritsuko Oshima(Giraffe)
Illustrations=Yusuke Saitoh

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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