コンテンポラリーアートギャラリーのような店内。チョコレートの彫刻の発表の場にしていきたいというパトリック・ロジェさん
象を模したチョコレートの彫刻の作品を、メタル素材で表現。昨年12月、ルーヴル・ギャラリーのアートイベントで展示された

 1968年生まれ、2000年MOF取得者のロジェさんは、パリでも他ショコラティエとは色の違う、突出した職人です。2008年に、パリ郊外のソー市にある第一号店のそばに700平米近くのラボラトリーを構えて以来、その特色を強くしています。この場所は、3階建てで中央に吹き抜けの大ホールがあるのですが、そこはまるでアーティストのアトリエのよう。チョコレート彫刻の製作現場になっています。

 ロジェさんは、ボンボンショコラやタブレットを作るこだわりも半端ではないですが、彫刻の制作にも力を入れているのです。例えば2年前のクリスマスには、天井に届くほどの高さのクリスマスツリーを制作し、チャリティキャンペーン番組に出演。子供たちのためにアトリエ公開もしていました。また、常々大きな彫刻を制作して、それを切り分け、各店舗のショーウィンドーに飾っています。2011年に作成したのは、大河を泳ぐカバの群れを表現した作品。長さ8m、幅2.4mほどもある巨大なチョコレートの彫刻でした。そうした作品群は数知れず、今やチョコレートのアーティストとも呼ばれています。

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text:Aya Ito