10:15 旅のハイライト、良縁願って出雲大社へ

 幸せを運ぶだいこくさまや『因幡の白兎』の神話でおなじみの、大国主大神をご祭神とする出雲大社。

 「国譲りの神話」によると、天照大神が自分の子孫に出雲国を譲ってほしいと大国主大神に交渉。その申し出を受け入れる代わりに大国主大神があげた条件が、天照大神の宮殿と同等の壮大さを誇る、出雲大社の造営だった。

 話はまとまって、大国主大神は目に見えない世界を司ることとなり、そこに働く“結び”の力で人々を幸福に導いたという。

 出雲大社を正式に参拝するなら、正門の勢溜(せいだまり)の大鳥居をくぐることから始めたい。

 「日本の名松100選」に選ばれた、立派な松並木の参道は三本の道が走るが、中央は神様のためのもので、そこは外して両端を歩く。手水舎で清めて、いよいよ神前へ。

 神様に最も近づける本殿の八足門の前に立つと、身も心もきゅっと引き締まる。門の向こうには高さ24メートルもの大社造の屋根の、威風堂々とした本殿がそびえている。

 目を閉じて、二礼、四拍手、一礼。この参拝の作法は、出雲大社独特のものだ。

 本殿の背後に回ると、大国主大神の父である須佐之男命(すさのおのみこと)を祀る素鵞社がある。ここの床下の砂と稲佐の浜でいただいた砂を交換した(砂のお守り)。

 さらに西側に回り、稲佐の浜の方角の西を向いているご神体を思い浮かべながら、参拝する(実は南に向いた本殿にお参りしても、ご神体は横を向いた状態)。

 そして日本最大級の注連縄(しめなわ)が有名な神楽殿へ。長さ13.6メートル、重さ5.2トンもの注連縄はのけぞってしまうほどの迫力で、同時に人間のちっぽけさを思い知らされる。ちなみに一般的な注連縄とは異なり、左右逆巻きになっている。

 参拝の記念に……と、お守りを選んでいたところ、平成の大遷宮を記念した「蘇守」を発見。これは60年に一度の記念のお守りだとか。これこそ、ご縁かも。

出雲大社

所在地 島根県出雲市大社町杵築東195
電話番号 0853-53-3100
http://www.izumooyashiro.or.jp/

2020.04.03(金)
文=古関千恵子
撮影=石橋優太、古関千恵子