SNSの下手さが
とても他人と思えない

 浜崎あゆみのインスタも覗いてみたが、うぉぅ不器用。迷いながらも全力で人生送ってますアピール満々、コメントの永遠に乙女なポエムなど、禁断のこじらせシンパシーを感じ、最初こそ応援していたものの、だんだんつらくなって見るのをやめた。「自然体を意識しすぎてナナメ発信症候群」にかかってるよ、あゆ!

 以前、井上陽水のサルサな「SAKURAドロップス」を聞きたくて、宇多田ヒカルのソングカバー・アルバム「宇多田ヒカルのうた-13組の音楽家による13の解釈について-」をレンタルしたとき、耳に飛び込んできた浜崎あゆみの「Movin’ on without you」。なんとつややかなプラスチックボイス。いろんなものを弾き飛ばすような人工的な柔らかさを感じさせ、

「あゆっていい声してるんだなあ」

 と妙に感動してしまった。

 ところが去年の歌の祭典でダンサー付きでこの歌を歌唱した時は「なんか違う」と思ってしまった。歌以上に個性と演出が賑やか過ぎるよ、あゆ! でもそのやりすぎ感も愛しくて切ないのだ。

2019.09.05(木)
文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋