無差別殺人犯を演じた
『葛城事件』

――16年公開の『葛城事件』では、三浦友和さん演じる父親を持つ、無差別殺人事件を起こした少年役を演じました。

 もともと、監督の赤堀(雅秋)さんが主宰する劇団THE SHAMPOO HATの舞台が好きで、舞台版の「葛城事件」の当日券を取ろうと並んだほどなのですが、結局観れなかったことが、ずっと悔しくて。映画版のオーディションの話が来たときに、「これは受けるしかない!」と意気込んでいました。後で赤堀さんに聞いたら、当時の僕の宣材写真を見て、「こいつ、いらね」と思ったらしいです(笑)。この作品と出会ったことで、多くの方に注目されるようになり、さらに環境が変わっていきました。

――かなりヘヴィな役柄だっただけに、芝居によってメンタルをやられる、役を引きずるというようなことはありませんでしたか?

 いくつかTHE SHAMPOO HATの舞台を観に行っていたので、赤堀さんの独特なセリフ回しはある程度、理解していたつもりだし、そのセリフを言いたいという気持ちがあったので、受かった時は本当に嬉しかったんです。僕は「仕事は仕事」という考え方の人なので、そこでメンタルをやられて、ほかの仕事に悪影響を与えるとか、プライベートまで崩してしまうということは決してないんです。一個一個、スイッチを切り替えてやっているので、そこは大丈夫です。

~次回は新作出演映画『愛がなんだ』についても語っていただきます~

若葉竜也(わかば・りゅうや)

1989年6月10日生まれ。東京都出身。幼少時代から俳優として活動。陰のある役から、アクの強い役まで幅広い演技力で、映画・ドラマ・舞台などで幅広く活躍する。2016年公開の『葛城事件』では、第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。

『愛がなんだ』

主人公は28歳のOLテルコ(岸井ゆきの)。彼女は一目ぼれしたマモル(成田凌)に想いを寄せている。自分の時間のすべてをマモルに捧げ、その結果、仕事を失いかけても、年下のナカハラ(若葉竜也)を振り回す自由奔放な友人・葉子(深川麻衣)から冷ややかな目で見られても、彼一筋の毎日を送る。
2019年4月19日(金)より、テアトル新宿ほかにて全国公開
http://aigananda.com/
(C)2019映画「愛がなんだ」製作委員会

くれい響 (くれい ひびき)

1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2019.04.19(金)
文=くれい響
写真=白澤 正
ヘアメイク=FUJIU JIMI
スタイリスト=Toshio Takeda(MILD)