品のある佇まいも魅力
井上茶寮の名物「カヌレ羊羹」

 「井上茶寮」でいただける和菓子をご紹介しましょう。

 まずは、井上茶寮の名が知られるきっかけとなった「カヌレ羊羹」。

 洋の素材を組み合わせ、小さなカヌレ型に流して固めた羊羹です。

 井上さんがていねいに手作りする、様々な種類が次々に登場。ふた口ほどで食べ切る可愛いサイズがいい。

 「2トーン 白餡、粒餡」は「透き通る白餡とねっとり粒餡の妙」と井上さんが語るとおり、するりと喉を通っていく白餡と粒餡の食感の違いが楽しめます。

 「ショコラ」は、チョコレートとは異なるねっとりとした舌触りが面白い。

 「酒粕」は、兵庫県加西市産山田錦を使い、「富久錦」が醸造した酒・SENの酒粕を使用。一つの田圃から採れる酒米で一つの日本酒をつくる「一圃一酒」。

 日本酒の可能性を広げ、農業の在り方を伝えていく酒を選んでいるのが、井上さんらしい。ふわりと香る日本酒の芳香に魅せられます。

 「黒胡麻」は、濃厚なゴマの風味。

 「トンカ」は、バニラや杏仁、桜餅にも似たほのかな香りにほっこり。

 独特の風味とほろ苦さの「抹茶」の他、さくら、安納芋、栗マロンかぼちゃ、栗、檸檬といった季節感溢れるものや、きな粉、濃茶、塩羊羹といった和テイスト、洋菓子のような塩キャラメルも登場。

 バレンタインには、ベトナム、コロンビア、マダガスカル、ペルーなど、カカオの産地違いの5種類の箱入りショコラ羊羹も。井上さんの自由な発想にびっくりします。

 茶寮では、作りたての「季節の最中」も味わえます。

 桜や山椒など、季節に合わせた餡を、桜や菊など、季節に合わせた皮にはさんだもの。パリッとした皮の歯触り、餡の上品な甘さを堪能。

 私がいただいたランチもご紹介しておきます。

 ランチは3皿構成。1皿目は「菊芋とケールの温かいスープ」。

 ソテーしたケールの香ばしさが、菊芋の風味を引き立てます。「野菜は地元のもの、朝採れたものを使います」と井上さん。

 2皿目は「北海道産黒豚挽き肉のクレープ包み」。

 添えられたルッコラと菜の花の苦味が春を感じさせます。文旦のビネグレットが爽やか。

 3皿目は「カヌレ羊羹」。

 この日は、塩味が粒餡の優しい甘さを引き立てる「塩粒餡」と、口の中に桜餅を思わせる香りが広がる「トンカ」。お茶を合わせて、ゆったり楽しみました。

 井上さんひとりでやっているので、ランチは3組のみの受け付け。心地よいひとときを求めて、予約して出かけましょう。

 今年は新たに建物の改装に着手。座敷など、より魅力的な空間が店舗として公開される予定だとか。

 また、すでにネット販売している黒文字に加え、菓子皿やお盆など、職人に依頼して作ってもらっているオリジナルのお茶道具も販売を開始するそう。

 「お菓子もお茶も器ももちろん、パッケージや包装用の風呂敷、熨斗まで、和菓子を使うシーンをトータルで展開します」と井上さん。

 カヌレ羊羹はお取り寄せもOK。日本茶はもちろん、紅茶やコーヒー、日本酒やワイン、洋酒とのペアリングも楽しめる、素敵なお菓子です。

井上茶寮

所在地 兵庫県姫路市的形町的形1997 
電話番号 079-254-0075
Instagram https://www.instagram.com/_inoue_saryo_/
https://www.inouesaryo.jp/

宗田洋子(そおだ よおこ)

ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2019.03.24(日)
文・撮影=そおだよおこ