イタリア・トスカーナの町歩き
美しき中世の町シエナ

イタリア唯一の国立ワイン総合文化施設でワイン探訪

 町並みの美しさを堪能したなら、もうひとつ、ぜひ足を運んでみたいところがあります。それは、ワイン王国イタリアで唯一の国立ワイン総合文化施設「エノテカ・イタリアーナ」。エノテカとはワインの展示館、販売所のこと。実は、シエナはイタリアでも有数のワインの産地、キャンティ地方にあり、サンジミニャーノ、モンテプルチアーノ、モンタルチーノといった銘醸地もあります。

 ここエノテカ・イタリアーナではイタリア全土のワインから厳選した1600種を展示、またバー、レストランも併設していて、ワインの試飲、購入もできます。

地下にある展示室。メディチの要塞跡を利用した雰囲気ある空間

 日本のように南北に伸びたイタリアは、それぞれに風土豊かな特徴があり、そこで作られるワインもまたその土地によって味わいが異なります。それを全部味わい尽くしたなら、それこそバッカスになれるほどの奥深き世界。その深みを探求するのに心強い味方、日本人スタッフの鈴木さんが、ここでは分かり易く説明してくれるので、ワイン通の方も、ただのワイン好きの方も、せっかくだから見てみたいだけの方もそれぞれに楽しむことができます。

左：エノテカ・イタリアーナ 日本人スタッフの鈴木暢彦さんと、ここに30年勤めるジャンピエル・クチーニさん
右：併設のバースペースにはテラス席も。トスカーナの風に吹かれながらワインをゆっくり味わうこともできる

 シエナのあるキャンティ地方はちょうどワイン用の葡萄の収穫時期。夏が暑かった今年はワインの当たり年になるかも!?  日本のみなさんもそれぞれにワインを楽しまれていることと思います。ワイングラスを傾けたなら、赤褐色のワインの底に、葡萄畑に囲まれた美しい中世の町へ思いを馳せて、つかの間の時間旅行など秋の夜長にいかがでしょう。

藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー＆ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったブログ blog.goo.ne.jp/chococogogo/