コンセプトは“アトリエ温泉旅館”

 前ページで紹介したように、ゲストルームを「仙石原アトリエの間」と呼ぶこの施設のコンセプトは“アトリエ温泉旅館”だ。

 ミュージアムが多く集まる仙石原の特性に着目し、温泉旅館の滞在を通して五感を研ぎ澄まし、自身の内側にある表現欲を刺激する場所になることを目指しているのだという。

 アートを鑑賞するものではなく、表現するものと捉え、アーティスト・ゲスト・スタッフの三者が、様々な手法や材料で表現。画材や絵筆が並ぶアトリエに仕立てられた「ライブラリー」では、毎日“ご当地楽(ごとうちがく)”が開催されるのも楽しみのひとつだ。

 毎夜行われるご当地楽では、型染作家の小倉充子氏によるオリジナルの手ぬぐいに、絵付け・色付けの体験を(チェックイン時に要予約)。

 手ぬぐいは、箱根の宿場町や、仙石原をイメージした野鳥や草花をあしらったデザイン、何も描かれていない真っ白な手ぬぐいなど6種類が用意されている。好きなデザインを選んで、布クレヨンを使って好きな色をのせたり、自由に絵を描いたり。世界にひとつだけのオリジナル手ぬぐいを旅の思い出に。

文=立花奈緒(ブレーンシップ)