世界遺産に登録された二社一寺をはじめ壮麗な世界観で旅人を魅了する聖地・日光。

 実はこの地は、日本で最も歴史ある避暑リゾート地のひとつ。古き良き時代の風情を今に伝える空間が随所に残り美しい夏のひとときを提供している。

〈手前・右〉ボストンバッグ“ボーイング” 398,000円、スカーフ“フラール” 57,000円〈手前・左〉ミニチュアトランク“ミノディエール” 524,000円〈奥〉バックパック“アルパン” 593,001円(すべてゴヤール/ゴヤール ジャパン 050-3852-3691)

 中禅寺湖を望む英国大使館別荘記念公園のティールームで優雅なひととき。美しい避暑のお供には、英国ウィンザー公爵夫妻らにも愛された「ゴヤール」の名品を。

時代の優雅と贅沢を
受け継ぐ日本最初の避暑地

 何度訪れても新しい発見のある日光。今号は夏でも涼しく心地よい散策を楽しめる、とっておきの場所へとご案内。和洋の美意識が融合した空間に感嘆するひとときを……。

諸外国のVIPが集った国際的リゾート

日光田母沢御用邸記念公園でいちばん人気のフォトジェニックなスペース、御学問所の丸窓と庭園部。

 1200年以上の歴史を誇る聖地として、壮大な歴史を刻んできた日光。幕末の激動を乗り越え、維新の新しい時代を迎えるとともに、この地も新たな時間を刻みはじめる。新生日本と国交を結んだ諸外国の外交官たちが、日光の清涼な空気と豊かな自然を求めて訪れるようになったのだ。やがて各国が大使館別荘を設置。夏になるとこの地は、ヨーロッパのエスタブリッシュメントが集い、ときに華やかな社交場となり、ときに国際外交の最前線となった。

 現在もフランス、ベルギーの両国が中禅寺湖畔に大使館別荘を構え(非公開)、英国、イタリア両大使館別荘は復元され、記念公園として一般に開放。古き良き時代の風情を現代に体験できる貴重な空間として人気を集めている。

 さらに優雅な夏の避暑地として必見が、日光田母沢御用邸記念公園。1899年(明治32年)、後の大正天皇のために造営されてから約半世紀、3代の天皇・皇太子が滞在した歴史遺産だ。日本建築の頂点と、西洋の生活文化が融合した邸内は見ごたえ十分。

 盛夏でも平均最高気温が30度を超えることがない日光。中禅寺湖畔では、日中でも最高気温は23度前後と非常に涼やか。訪れる際は、優美な避暑にふさわしい装いをお忘れなく……。

日本建築の頂点がここに結集

日光田母沢御用邸記念公園
Nikko Tamozawa Imperial Villa Memorial Park

書院造りに絨毯を敷き、玉座が設えられた謁見所。

 1899年(明治32年)に造営され、1947年(昭和22年)に廃止されるまでの間、3代の天皇・皇太子が滞在した国指定重要文化財。

四季を映す中庭や庭園も美しい。

 江戸から大正にかけての建築様式・技法に西洋スタイルが融合した空間が壮観だ。

売店では、美智子さまや雅子さまの“お印”をデザインしたハンカチなどを販売。各1,200円。
お休み処で日光銘菓とお抹茶を。“玉座セット”570円。

 戦時中、疎開のためにここで過ごした今上陛下は、1996年に再訪を果たし、かつてに思いを馳せたそう。

杉戸絵などの芸術品も間近に。

日光田母沢御用邸記念公園

所在地 栃木県日光市本町8-27
電話番号 0288-53-6767
開園時間 9:00~17:00(11月~3月は16:30まで)
※受け付け16:00まで
休園日 火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 ※8月13日~16日、10月1日~11月30日、1月2日~5日、4月15日~5月31日は無休
入園料 510円

構成・文=矢野詔次郎
写真=小野祐次