時代や地域、分野を超えて
日本の美意識を再発見する

 ジャポニスム2018のコンセプトである日本文化の多様性と美意識を表現した「深みへ―日本の美意識を求めて―」展が開催される。ジャポニスム2018のいわば目次展ともいえるこの展覧会では作品を対峙・融合させ、同時に日本文化のあり方を時代や地域、分野を超えた作品で表現する。


Hôtel Salomon de Rothschild
「深みへ ─ 日本の美意識を求めて ─ 」展

2018年7月14日~8月18日 オテル・サロモン・ドゥ・ロスチャイルド館にて開催

《ANREALAGE, collaboration with NAWA Kohei | SANDWICH,ANREALAGE 2017-2018 autumn & winter collection “ROLL”》
デニムを貼り合わせたキューブをグラインダーで削った彫刻ドレス。

 例えば、紀元前3500年~2500年頃の縄文火焔型土器と、ファッションブランド・アンリアレイジとのコラボによる彫刻ドレスが、同空間に配される。日本人が狩猟民族だったころの立体的感覚が発露する縄文土器と、現代クリエイターによるテキスタイル彫刻。

 キュレーターを務めた長谷川祐子氏によると「一見、対極的に思える両者が、プリミティブなパワーやダイナミズム、そして“生命感”という共通要素を通して、融合し、共存するのです」。このほか田中一村の花鳥画とポール・ゴーギャンの木版画、円空の木彫仏像とパブロ・ピカソの木彫像など、エキサイティングな組み合わせも多数。

国宝《火焔型土器》 前3500年~2500年 十日町市博物館蔵
縄目模様が特徴の立体的な縄文土器には、自由で創造力が溢れる、大らかな造形美が備わっている。

「馴染みの作品には得てしてステレオタイプなイメージがありますが、ここでは作品の組み合わせにより、そのカタチが変容します。作品の背景にある物語や文脈を個々の感性で感じ取り、そしてすべては繋がっていることに気付く邂逅の瞬間の連続。この瀟洒な邸宅では作品同士が見せる美しさも際立ちます。それをぜひ体感していただきたいです」

 日本の美意識をパリで再発見。絶好の機会を逃したくない。

「深みへ ─ 日本の美意識を求めて ─ 」展

会場 Hôtel Salomon de Rothschild(オテル・サロモン・ドゥ・ロスチャイルド)
所在地 11 rue Berryer, 75008 Paris
開館時間 10:00~18:00
定休日 2018年7月23日(月)、8月6日(月)
入場料 未定
http://www.hotelsalomonderothschild.com/

長谷川祐子(はせがわ ゆうこ)さん

東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 アートプロデュース 教授、東京都現代美術館参事。キュレーターとして、アメリカのホイットニー美術館、金沢21世紀美術館など幅広く活躍。海外のキュレーションも多数手がける。

ジャポニスム 2018

詳細情報はこちら。フランスらしい空間で日本の文化・芸術がどのように紹介され、パリジャンたちにどう反響があるのかを眺めるのも一興だ。

https://japonismes.org/

Text=Yumiko Kageyama
Photo=Atsushi Hashimoto(Paris)