独立型ヴィラの集合スタイルが登場

貸別荘スタイルから、ヴィラの集合体へ進化。レセプションやレストランなどの施設も併設し、ホテルに近いサービスが受けられるように。(ラナディ ヴィラ・スミニャック)

 今でこそ、Airbnbなどの民泊システムが周知され、宿泊する一軒家へ直接行くことへの抵抗も低くなりましたが、ホテル滞在が主流の当時、一軒家を借りることはなかなかハードルが高いものでした。

 しかもメイドさんなどのスタッフを使いこなすのは、気を遣いがちな日本の旅行者にとっては慣れないもの。

 そこでお目見えしたのが、レセプションを置き、数棟の独立型のヴィラが集合したスタイルです。やがてレストランやスパを備えたものも登場し、いわばホテルとバケーションレンタルのいいとこ取りのスタイルが生まれたのです。

ロマンティックな天蓋付きベッドは、バリ島のヴィラのお約束。(ディシニ ラグジュアリー スパ ヴィラス)

 ヴィラも進化しました。石塀で囲まれた各戸は、セミオープンなリビングにプール付きはもちろん、ダイニングには最新のフルキッチンを用意、寝室にはロマンティックな天蓋付きのベッドを置き、バスルームには開放感たっぷりの屋外シャワーも併設。

バリのリゾートでは、朝食はスタッフがヴィラ内のキッチンで調理し、リクエストした時間にできたてをサーブすることも。

 朝食はスタッフがリクエストした時間にヴィラへ訪れ、キッチンで調理してくれます。ランチやディナーはキッチンを利用しての自炊やケータリングが利用でき、買い出しや出前のオーダーをスタッフにお願いすることも。

 この頃に今のヴィラの原型が作られたように思います。

ラヤ・スミニャック通りには外国人が手掛けるブティックも軒を連ねています。ただ、店の入れ替わりが激しいのも悩みどころ……。

 ヴィラが増えると同時に、ラヤ・スミニャック通りには海外からの移住組がデザインしたセンスのいいブティックが次々と登場、オベロイ通りには本場の味を再現したトラットリアや海外で活躍している日本人シェフによる創作和食、モロッコ料理店などが開業し、外国からの珍しい輸入食材店も誕生。

イタリア人シェフが本場の味をお手頃価格で供する“トラットリア”。

 時代は流れ、在住者のみならず、ツーリストたちもスミニャックへと北上するようになりました。

2018.04.21(土)
文・撮影=古関千恵子