パリでハチミツが採れる。意外なようでいて、都会で採集されるハチミツは、だんだんと認識されるようになっています。
例えばオペラ座の屋上で採れるハチミツは昔から知られており、フォションのパリ本店などでも販売しています。
そして創業を16世紀にも遡る由緒正しい名レストラン“トゥールダルジャン”でも昨年からハチミツを作り始めました。
もともとは、トゥールダルジャンオーナーのアンドレ・テライユ氏のアイディアで、環境保全へのジェスチャーの一つとして始まりました。
数年前まで、農薬の多用などのため、田舎ではミツバチが生息できなくなり、ハチミツが採れなくなったことが問題視されていました。
しかし、同じころパリ市ではいち早く緑化活動がさかんになって、地方よりもパリ市内の方が、空気の質がぐっと高まるという現象に。
その証拠に、ミツバチが生息して、トゥールダルジャンのハチミツを手がけるニコラ・ジェオンさんは、ルイ・ヴィトン社、グラン・パレ、デファンスの屋上など、あちこちでハチミツ作りに成功しています。
「パリは思いの外、自然が豊かで、木々のバラエティーに富んでいるのですよ。マロニエや菩提樹などの大木から、鉢植えのハーブ、花などもたくさん。生物多様性を意識した、パリ市の取り組みも功を奏しています」とジェオンさん。
text:Aya Ito