美しい巡礼の地、チェコ産ワインの故郷ミクロフ

 せっかくモラヴィア地方へ来たのなら、ぜひ立ち寄ってみたいのがワインの名産地でもあるミクロフ。モラヴィア大草原から車で約1時間、隣国オーストリアとの国境にある町です。小さな町の中心には美しい広場とミクロフ城、ルネッサンス様式の美しい建築が残され、かつてはオーストリアとチェコを結ぶ重要な交易ルートの一部として栄えてきました。

ミクロフの中心にある美しい歴史的な広場。

 町には美しい丘が2つあります。ひとつは「聖なる丘」。キリスト教巡礼者達が多く訪れたことにより丘の頂上にはバロック様式の聖セバスチャン教会が建てられています。丘全体が自然保護地区とされており、丘の天辺からのミクロフの景色は息を呑む美しさです。

聖なる丘の上には聖セバスチャン教会がそびえます。

 もうひとつの丘は「ヤギの丘」。丘の上には交易ルートとミクロフ城の安全を見守り続けた中世の見張りの塔が現在も残されています。

ヤギの丘からのミクロフ城とミクロフの町並み。

 これらの丘から見渡す限り広がるのが、連なったぶどう畑。ミクロフはモラヴィア地方でも有数のワイン名産地なのです。町を囲むパーラバと呼ばれる丘陵地には、その名も「パーラバ」という品種のぶどうの栽培が盛んで、この品種から作られたワインはチェコ国内で最も人気のあるワインのひとつです。

 モラヴィア地方の家々にはこの地方独特の可愛らしいワインセラーがあります。趣味でワイン作りをしている人も多く、手作りのワインを民宿の泊り客だけに振る舞ってくれる場所も多くあり、それはチェコ国内でもこの地方だけの特別な旅の楽しみなのです。

モラヴィア地方の伝統的ワインセラーの入り口。

 作り手の温もりが感じられる、世界でそこにしかない創作ワイン。ミクロフを訪れたらぜひ試してみたいものです。ミクロフからオーストリアの首都ウィーンまでは車で約1時間、プラハからウィーンへの移動の道中に立ち寄ってみてはいかがでしょう。

クレメントゆみ子(くれめんと・ゆみこ)
2005年からチェコ共和国プラハ在住のコーディネーター・フリーライター・現地ガイド。日本からの各種メディアの取材・撮影コーディネートからWEBへの執筆、現地日本語ガイドまで幅広く活動する。チェコ・プラハの現地情報を発信するブログ:新チェコ生活日記2 http://prahalife2.exblog.jp/
現地で運営するエージェントのウェブサイト http://www.czechtraveland.com/

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文・撮影=クレメントゆみ子