丸ごと食べてみたくなる、後を引く旨み

スペシャリテの「カルチョーフィ アッラ ブラーチェ」。

 次に出てきたのは、スペシャリテでもある「カルチョーフィ アッラ ブラーチェ」。カルチョーフィはアーティーチョーク(チョウセンアザミ)のこと。イタリアではよく食べられる野菜の一種で、その中にペコリーノチーズ、イタリアンパセリ、ニンニクの詰め物をして焼いたものがこれです。ナポリにいたころのシェフの思い出の味なのだそう。修業先のレストランの家族との食事のために毎週日曜焼いていたといいます。

 向こうでは丸ごと一つ食べていたそうですが、コースの中では一口サイズで登場しました。詰め物のうまみを吸ったカルチョーフィの美味しいこと! これは確かに丸ごと食べてみたい。そんな欲求が湧いてきてしまう、後を引く旨み。余韻でワインが楽しめます。

 そうそう、巨大なお皿にも驚きました。独自の盛り付けをしているので、こちらのコースは料理とともにお皿にも注目です。

イカやエビ、アサリ、イカスミなどの魚介でとった濃厚なスープ。

 この月はほかに、ホロホロ鳥のもも肉をトレビスやフォアグラのパテ、イチジク、カルダモンなどと合わせた一皿や(チョイスしてくれたイチジクの香りのする赤ワインとの相性が抜群でした)、43度の油の中で40分間、火を通したマスをザワークラウトのピュレと合わせたもの、イカやエビ、アサリ、イカスミなどの魚介でとった濃厚なスープ、馬肉を煮込んでイタリアの高級ワインであるアマローネのソースをかけたものなどが登場しました。

 一皿にのる素材は多く、甘み、苦み、酸味、歯触り、香り、様々な要素が織り込まれています。複雑ではあるけれど、口で一つになったときは素直に美味しい。そんな料理の数々です。

 ランチタイムは、通常12,000円のコースが、内容をそのままに8,500円で食べられてとてもお得。5,000円で8種類もついてくるワインペアリングも平日ランチタイムだけ。自分にご褒美を与えたい日には、仕事を休んで行ってみたい!

イル・テアトリーノ・ダ・サローネ
所在地 東京都港区南青山7-11-5 HOUSE7115 B1
電話番号 03-3400-5077
営業時間 ランチ 12:00~16:00(13:00 L.O.)、ディナー 18:00~23:00(20:00 L.O.)
定休日 日曜、第1・3月曜
予算 コース 12,000円
URL http://www.ilteatrino.jp/
Facebook https://www.facebook.com/ilteatrinodasalone
[2015年9月訪問]

浅妻千映子(あさづまちえこ)
1972年東京生まれ。聖心女子大学卒業。鹿島建設勤務を経て、フードジャーナリストに。「dancyu」などの雑誌や書籍で執筆活 動を行う一方、料理研究家としてワインスクールであるアカデミー・デュ・ヴァンで料理講師も務める。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2015.10.19(月)
文=浅妻千映子
写真=イル テアトリーノ ダ サローネ