世界中の人々を魅了する永遠の憧れ
オードリー・ヘップバーン展がロンドンで開催

英国人写真家セシル・ビートンによる一枚。1954年3月撮影。ビートンはオードリーのことを「生まれながらのスター」と自らの日記に綴っている。(C)The Cecil Beaton Studio Archive at Sotheby's

 『ローマの休日』や『ティファニーで朝食を』などの印象深い名シーンはもとより、現在でも世界中のCMに映像が起用されるなど、没後20年以上を経ていまだ多くの人々の心を惹きつける英国人女優、オードリー・ヘップバーン。そんなカリスマ女優のさまざまな表情を一堂に並べたエキシビションが、2015年7月2日よりロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催されています。

エキシビションの入り口の壁には、在りし日のスターの映像が。
少女時代のダンスリサイタルでの写真。1942年4月14日、マノン・ファン・スクテレン撮影。Copyright:reserved.

 オードリー・ヘップバーン展「Portraits of an Icon」は、彼女の少女時代から晩年の活躍まで、その63年の人生を俯瞰し、時系列で追ったエキシビション。オードリーのふたりの息子ショーン・ヘップバーン・ファーラーさんとルカ・ドッティさんの所有するパーソナル・コレクションから厳選された35点も、その一部として展示されています。

 最初のセクション「Childhood and Early British Success」では、まだあどけないおかっぱ頭のオードリーや、10代前半でのダンスリサイタルやバレエスクール時代の写真、当時履いていたバレエシューズなどが並んでいます。続いて、戦後オランダからロンドンに赴きバレエ学校に通うも、長身(170センチ)を理由にプリマドンナへの道を諦め、ナイトクラブでのコーラスガールをしていた時代の写真など、カリスマ女優の若き日の姿が浮き彫りに。

左:1940年代、オードリーが使っていたバレエシューズ。
右:エキシビション開催中は、ミュージアム・ショップでもさまざまなオードリー・グッズを販売しています。

 そのなかには、オードリーを含む3人のコーラスガールがポーズをとった、当時の人気ナイトクラブ「Ciro’s」のポスターも。このナイトクラブがあったのは、ちょうど現在のナショナル・ポートレート・ギャラリーの一部にあたり、65年の時を経てこの地にオードリーのこのポスターが戻ってきたのも不思議な縁を感じます。

左:「Lacto-Calamine」ローションの広告用写真。1950年10月にアンガス・マクビーンが撮影。(C)National Portrait Gallery, London
右:『麗しのサブリナ』の衣装合わせのときの写真。1953年9月21日撮影。

 続く「American Stage and Film」から「International Stardom」のセクションでは、舞台作品『ジジ』に主演、『ローマの休日』でのアカデミー主演女優賞から、スターダムにのし上がっていくオードリーのスタイリッシュなポートレートが続きます。『ティファニーで朝食を』のお馴染みの写真も。

フランスの雑誌「Jours de France」1962年1月26日号の表紙。『ティファニーで朝食を』のホーリー・ゴライトリーに扮したオードリーをハウエル・コナントが撮影した写真が使われている。

 最後の部屋では、40代、50代で雑誌の取材に応じたオードリーのポートレートや、ユニセフ親善大使として活動をした晩年の写真などが飾られているのですが、なんといっても、目を引くのは、ひとつの壁いっぱいに並んだ各国の雑誌の表紙です。もちろん、すべてのカバーを飾っているのはオードリーで、日本の『映画の友』1954年5月号もありました。いかに彼女が世界を魅了していたのかが、伝わってくる展示です。

世界中のマガジンの表紙を飾ったオードリー。日本の『映画の友』1954年5月号も。

文・撮影=安田和代(KRess Europe)