イベント初日、記者発表が行われた館の一室。パレルモ市観光評議会議長、イタリア伝統文化保存協会シチリア州代表、パレルモ大学政経学部長などが、シチリア・日本の文化親交について熱く語る

 南イタリア・シチリア州の州都パレルモにて、10月21~23日に日本フェスティバルが開催されました。その名も「La Sicilia abbraccia il Giappone」、日本語に訳せば、「シチリアが日本を抱きしめて」。イタリア的大げさで詩的な名前ながらも、現地での注目度は高く、毎年数千人の来場者がある人気イベントで、今年5回目を迎えました。日本フェスティバルと言えば、ついアニメファンのコスプレ祭りをイメージしがちですが、こちらのイベントは、日本から招待された「マエストロ」たちが、その伝統芸を披露するという、かなり真面目なもの。主催は、パレルモに本部を置く「シチリア・ジャッポーネ文化協会」。パレルモ市観光評議会やイタリア伝統文化保存協会などが協賛しています。

パレルモ市議会議員のインタビュー。「着物の女性たちで囲んで」とリクエストがあり、着物美女たちを背景にして

 パレルモは、残念なことにマフィアのイメージが強い土地でもありますが、実はとても文化度の高い街。150年前にイタリアに統一される前までは、シチリア王国の首都でもあり、地中海の真ん中にあることから、東西文化の交流点として栄えた歴史があります。10世紀頃にアラブ人が建設した街路がそのまま残る旧市街には、12世紀のノルマン王朝時代のエキゾチックなアラブ・ノルマン様式のカテドラルや王宮、貴族文化華やかなりし16~17世紀に建築されたシチリアン・バロックの貴族の館が混在し、豊かな異文化交流の歴史を今に見せています。海を越えて入ってくる異文化に対する免疫がDNAに組み込まれているのか、日本文化に対しても比較的好意的。シチリア・ジャッポーネ文化協会の会長ジュゼッペ・カンニッツォ氏は、「同じ島国だから」と言います。ちなみに、誇り高きシチリア人は、シチリア島をイタリアの一部とは認めていない(?)ところがあります。

text:Sawako Iwata