入学を許されるのは厳しい審査を通った者だけ

低温で丁寧に仕上げた子豚はオリーブとトマトのペーストにアーモンドソースで。

 ニコ・ロミートにとって、2014年はイタリア中部アブルッツォ州にある彼の店「レアーレ(Reale)」がミシュランの三ツ星レストランに昇格した記念すべき年でもあった。料理人としても企業家としてもとどまることを知らないニコ・ロミートは4年ほど前に料理学校を設立。同校の目的は卒業後すぐにプロとして通用する料理人を育てることにある。

 誰もが入学できるわけではなく、10カ月にわたる授業を受講できるのは毎年審査を通過した16名のみ。高額な授業料は地元の銀行の支援で低金利のローンが組めるシステムになっている。また、優秀な上位数名の生徒に限っては奨学金制度を利用することも可能だそう。コース課程の最終段階にあたる実技訓練では、イータリー・ローマ店にあるレストラン「スパツィオ」で全般的な店の運営についても学ぶ。

ビターチョコを溶かしてイチジクと乾パンを浮かべたスイーツは苦みがある大人向けの一品。
栗をメレンゲと生クリームで包んだいわゆるモンブラン。甘さ控えめなのが嬉しい。
イタリア食業界をリードするニコ・ロミート。昨年、自身のレストラン「Reale」がミシュランの三つ星レストランに昇格した。

 店で出されるメニューは、毎回旬の食材をもとにニコ・ロミートが卵たちの意見を取り入れながら決めているそうだ。自分の料理についてきちんと語れることも料理人には必須能力だという考えから、テーブルに料理を運ぶのも彼らの仕事だ。ひとつひとつの料理を指しながら、どのような食材をどのように調理しているのかを細かく丁寧に説明してくれる卵たち。どことなくたどたどしいところに初々しさが見え隠れし、微笑ましくもある。

 「あのカリスマシェフがまだ修業中の頃の料理を、私、食べたのよ!」。いずれそう自慢できる日が訪れることを想像しつつ、ランチを楽しんだ。合格点を超える料理。心地よい空間。リーズナブルな値段。お薦めしたい店がまたひとつ増えた。

spazio ROMA (スパツィオ・ローマ)
所在地 Piazzale XII Ottobre 1492 Roma
電話番号 +39-06-9027-9240

Ristorante Reale (リストランテ・レアーレ) ※ニコ・ロミートの店
所在地 Contrada Santa Liberata Castel di Sangro(AQ)
電話番号 +39-0864-69382
URL http://www.ristorantereale.it/

Niko Romito Formazione (ニコ・ロミート料理学校)
所在地 Contrada Santa Liberata Castel di Sangro(AQ)
電話番号 +39-0864-840610
URL http://www.nikoromitoformazione.it/

村本幸枝 (むらもとゆきえ)
イタリアでは撮影コーディネートを、日本では東京・中央区で日伊文化交流サロン「アッティコ」を主宰。在伊歴20年ちょっと。現在、年の半分ずつをイタリアと日本で過ごしている。

日伊文化交流サロン「アッティコ」:http://www.attico.net/

Column

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文・撮影=村本幸枝(アッティコ)