ビール居酒屋“ホスポダ”には生活と文化がある

 現在、チェコ国内には数え切れないほどのビール醸造所があります。各地方独自のビールはその土地の文化でもあり、その土地の誇りでもあります。

 ほとんどのチェコ人は、ビールを飲むときは居酒屋に出かけます。缶や瓶では味わえない新鮮な味を求めて、また近隣の人々との会話や友人・家族との団欒のためでもあります。チェコでビールの飲める居酒屋やレストランのことを“ホスポダ”といいます。ホスポダはどこの町にも当然のように存在し、人々が集う場所としてチェコの生活のなかで重要な役割を果たしています。

 ホスポダのメニューを見るとびっくりするのが、水やジュースよりもビールが安いこと。そうです、チェコは最高の品質のビールをとっても安く飲める国でもあるのです。500mlのビールが日本円で200~250円といった、驚きの安さ。チェコ人がビール好きなのも納得できますね。

 プラハで試したいビールとホスポダをいくつかご紹介しましょう。

◆ ウ・フレク

 1499年創業の老舗のホスポダです。「フレコフスキー・レジャーク」と呼ばれる黒ビールのみですが、まろやかな味わいのこのビールはここでしか飲むことができません。チェコ人で「ウ・フレク」の名を知らない人はいないほど有名なホスポダですので、夜はたくさんの人々でにぎわいます。アコーディオンの演奏に酔いながら、ビールに酔いしれましょう。

◆ ウ・ルドルフィナ

 芸術家の家「ルドルフィヌム」のすぐ側にあるホスポダです。「ルドルフィヌム」はチェコ・フィルハーモニーの本拠地でもあり、演奏家たちもここの常連。演奏後にバイオリンやチェロを傍らにビールを飲む人々も多く、地元の人々からの支持が高いホスポダです。ここで飲めるビールはチェコを代表するピルゼンスキープラズドロイ醸造所にて生まれた「ピルスナー・ウルケル」。注ぎ方やビールの温度に徹底的にこだわり、チェコ人が好むピルスナー・ウルケルを味わえる場所のひとつです。常連客に交じって、黄金のビールを堪能しましょう。

◆ ウ・スペバーチクー

 レアなビール「スヴィヤニ」が飲めるホスポダです。1564年に作られたこのビールは、プラハ市内であまり見かけることがないのですが、根強いファンがしっかりついており、わざわざこれを飲むために、このホスポダに足を運ぶ人も多いようです。夏になると屋外の席でビールを飲む人々がいっぱい。地元ならではの生活感にあふれているところも、このホスポダの魅力です。

 チェコにはビールにまつわる有名な諺があります。

「Pivo dělá pěkná těla.(ビールは美しい体を作る)」

 この国に美しく、端正な顔立ちの人が多いのは、単なる偶然ではないのかもしれないですね。チェコビールを飲めば、あなたも美しくなれるはず!?

Plzeňský Prazdroj(ピルゼンスキープラズドロイ醸造所)
所在地 U Prazdroje 7, 304 97 Plzeň
電話番号 +420-377-062-888
URL http://www.prazdrojvisit.cz/

U Fleků(ウ・フレク)
所在地 Křemencova 11,Praha 1
電話番号 +420-602-660-290
営業時間 10:00~23:00
定休日 無休(12月24日は休業)
URL http://ufleku.cz/

U Rudolfina(ウ・ルドルフィナ)
所在地 Křižovnická 60/10, 110 00 Praha 1
電話番号 +420-222-328-758
営業時間 11:00~23:00
定休日 無休(12月24日は休業)

U Zpěváčků(ウ・スペバーチクー)
所在地 Na Struze 7/1740,11000Praha 1
電話番号 +420-224-930-493
営業時間 10:00~翌2:00(土・日曜日11:00~翌2:00)
定休日 無休(12月24日は休業)
URL http://www.uzpevacku.cz/

クレメントゆみ子(くれめんと・ゆみこ)
2005年からチェコ共和国プラハ在住のコーディネーター・フリーライター・現地ガイド。日本からの各種メディアの取材・撮影コーディネートからWEBへの執筆、現地日本語ガイドまで幅広く活動する。チェコ・プラハの現地情報を発信するブログ:新チェコ生活日記2 http://prahalife2.exblog.jp/
現地で運営するエージェントのウェブサイト http://www.czechtraveland.com/

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文・撮影=クレメントゆみ子