海辺の老舗レストランは『アメリカン・グラフィティ』そのもの

 ネオンに彩られた外観、古いジュークボックスから流れる音楽。メニューには、ステーキあり、タコスあり、沖縄の郷土料理あり。1967年開業の「シーサイドドライブイン」は、Aサイン許可店ではなかったが、60~70年代の雰囲気はたっぷり。

海辺を照らすネオンサイン。これを見るととたんに、気分は昭和にタイムトリップ。

 開店当時からあるジュークボックスは今も現役で、アバにクイーンにベイ・シティ・ローラーズに加山雄三、「大阪しぐれ」に「飛んでイスタンブール」と、ラインナップも幅広い。

ジュークボックスは古いけれど、何度もメンテナンスして、今でもちゃんと働いている。

 夜空に光るネオンサインは『アメリカン・グラフィティ』の趣、一方で、料理は手作りの家庭的な味。今のようにレストランが多くなかった時代、かつて24時間営業だったこの店(現在、テイクアウトのみ24時間営業)には、夜遅くに車を飛ばしてくる人も多かったという。

なんと、人気メニューのホームメイドスープの価格はいまだ190円。今でも当時の味を慕い、遠方から足を運ぶ常連も多いのだとか。テーブルにあるのは、もちろん沖縄定番の調味料。

 リゾートホテルが並ぶエリアから少し離れたところに立ち、目の前に広がるのは静かな海。この景色も、素朴な味も、昔から変わらないまま。近年に続々と誕生している海辺のカフェもいいけれど、こんなレトロなレストランで食事をしたり、Aサインが見守る洋食店でタコスやステーキを頬張るのも、いいなあと思う。沖縄らしさにどっぷりと浸れるのだから。

目の前に広がる海と店の雰囲気は、変わることのないこの店の魅力。

シーサイドドライブイン
所在地 沖縄県国頭郡恩納村仲泊885
電話番号 098-964-2272
営業時間 24時間営業
定休日 無休
URL http://www.seaside-drivein.com/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

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文・撮影=芹澤和美