わずか1分のストレッチ。脳に「気持ちいい」を感じさせるのがコツ

富永 さて、それでは第1ストレッチをしてみましょうか。これは、耳穴の後ろ3センチの部分にあるポイントがこっている人向き。くぼみがあって親指がすぽっとおさまるところです。ここ、痛いでしょう?

小西 あ、たしかに痛いです。

耳の後ろのこりをとる第1ストレッチ。後頭部のインナーマッスルをストレッチしてほぐします。

富永 ここは、ストレスを感じたときや目の使い過ぎでも痛くなるポイントです。第1ストレッチは、この周辺にある筋肉をゆるめる運動。疲れ目やドライアイを改善するのにも効果的ですよ。それでは、親指をポイントに合わせて、視線をまっすぐ前に向け、頭はややエビぞって。鼻から大きく息を吸ったら、次に口から息を吐きながら肘をさらに左右にゆっくり広げます。そのとき、胸を突き出すようにしてね。

小西 あ、首の後ろ側がじわーっと効いてる感じ。

富永 もういちど息を大きく吸い込んだら、今度は吐きながらゆっくり肘を前に閉じるようにします。これを1分間繰り返して……ハイ、おしまい。

小西 え、もう終わりですか? すごく簡単!

後方へ開いた両肘を、前方に閉じます。これを繰り返すことで、徐々に筋肉がゆるみ血行が改善。
第1ストレッチは抜け毛やフケなど頭皮の問題にも効果があるとか。あまりの気持ちよさに小西さん、満面の笑み。

富永 どう? 首のつっぱり感がとれたでしょう?

小西 たしかにすっきり、ラクになりました。

富永 決して、頑張りすぎたり、息を止めたりしないようにね。むしろダレダレな気分でやったほうが効果はあります。脳が気持ちいいって感じることが大事ですから。

小西 こんな短時間ですっきりできるなんて驚きです。これなら、仕事の合間にちょっとできる。時間をかけてマッサージする必要もありませんね!

 たった1本のラバーチューブとわずか1分のストレッチで「こりトレ」初体験、自分でも驚くほど肩がラクになったという小西さん。会社でも家でも手軽にできるとあって、すっかりハマりそうです。

the rubber-tube stretch
こりトレ

著・富永喜代
本体1,600円+税 文藝春秋刊

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富永喜代 (とみなが きよ)
1967年生まれ。痛み改善ドクター、麻酔科医師。2008年、肩こり、頭痛、腰痛、関節痛など、人を悩ますさまざまな痛みを緩和するため、愛媛県松山市に「富永ペインクリニック」を開業。クライアントのライフスタイル分析から治療方針を定め、体質改善を図る独自の「オーダーメイド治療」が、人生まで変えると評判に。同クリニックの肩こり・頭痛外来の年間受診者数は1万人を超え、国内のクリニックでベストテンに入るほど。

2014.11.04(火)
取材・文=嵯峨崎文香
撮影=鈴木七絵