「最後」ではなく、「未来」へつなげたい本物の味
トゥンミニア、ルッセッロ、ペルチャサッキ、ビアンコリッラなど、古代小麦の復活を成功させたモリーニ・デル・ポンテですが、“ラスト粉屋さん”の本領発揮はここからです。古代小麦を精製するのは、天然石を用いた巨大な石臼。
「微細で不規則な凹凸がある石で小麦を挽くと、ミネラル、ビタミンを多く含む胚芽部分がそのまま残り、小麦の持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。かつては、このような石を用いていたのです」
食物トラブルは、遺伝子組み換えの農作物や、食品に含まれる化学物質が原因になることもあると言われています。最近、イタリアでも増加傾向にあるグルテン不耐性の人でも、天然の種から作る天然の小麦、防腐剤や添加物が入っていない、昔ながらの石挽き小麦で作ったパンやパスタなら、食べられるというケースもあるそう。
「歴史や過去が語りかける言葉を聞き、香りを嗅いで、人間が満足できる製品を作っていきたい。ですが、伝統にこだわる懐古主義というわけではありません。パンのように伝統を捏ねて、“未来”に伝えるべき本物の味を作っているのです」
未来を見据えるドラゴ氏が作る天然無添加の古代小麦は、イタリア国内外で称賛され、スローフード協会はもちろん、イタリアじゅうのグルメイベントに引っ張りだこ。2ツ星リストランテ「ラ・マディア」のピーノ・クッタイオ氏、クスクスの魔術師ベッペ・ジュフレ氏など、グランデ・シェフ御用達の食材となり、海を越えてマンハッタンの人気店「ターヴォラ」でも愛用されています。お次はいよいよ日本にも登場するかも!?
Molini del Ponte
URL http://molinidelponte.com/welcome/
所在地 Via G. Parini, 29 Castelvetrano
電話番号 +39-0924-904162
岩田デノーラ砂和子
編集ライター・コーディネーター・イタリア語通訳。2001年より、イタリア在住。
お仕事HP:「Buonprogetto」
ブログ:「ワンコとイタリア暮らし」が人気の「ローマの平日 シチリア便り」
文・撮影=岩田デノーラ砂和子