ポルトヴェーネレの見所
サン・ピエトロ教会は13世紀に建てられた石造りの小さな教会。港から、鶴の首のように長く伸びた岬の先端に建っています。教会に続く一本道は、日本でいうなら社に向かう参道のように、道を辿るにつれ厳かな気分になっていきます。この地の灰色の石を切り出して作られた教会内は、潮騒のにぎやかな明るい外の世界に反して、ひんやりと静かな空気に包まれています。
右:花々が海辺の景色を彩ります。
ドリア城へと続く坂道を上ると、次第に広がっていく海の青、空の青。カラフルな町並みは小さく遠のき、まるでおもちゃの国のよう。上り坂は少し息があがりますが、海から吹き上げる風が心地よく火照りをさましてくれます。
城の歴史についてはまだ分からない部分もあるのですが、分かっている史実だけでも、サン・ピエトロ教会よりも古くからあるとされています。かつてまだイタリアが統一されず、それぞれの国に分かれていた時、この城は町を守る要として活躍しました。現在は一般に公開されており、城の上からは町でいちばん高い景色を望むことができます。
右:どこまでも青く輝くリグーリア海。
ひとつづきに青く輝く空と海、翔る風、降り注ぐ太陽の光。上り詰めて見える景色はこんなにも潔く美しいものなのかと思ったほどです。
日本にもまもなく夏の太陽が降り注ぐでしょう。暑さ厳しい日もあるかと思いますが、皆様どうぞ健やかに、良い夏をお過ごし下さい。
アクセス
ジェノヴァから列車で約1時間30分。
藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブック https://www.facebook.com/chococogogo
文・撮影=藤原亮子