美食の宿でシャンパンと洗練された料理のマリアージュに陶酔し、新進の造り手からシャンパンの新しいムーヴメントを知る。ランスを中心にシャンパーニュ地方を巡る、魅惑の旅へ。

» 第2回 伝説の造り手の傑作シャンパンと美食 「レ・ザヴィゼ」

L'Assiette Champenoise (ラシエット・シャンプノワーズ)

 今春、ミシュランの3ツ星を獲得したアルノー・ラルマン氏によるホテルは最新の味わいと内装に家族経営の温かさが調和する。

手長エビのロワイヤル。無駄を省いたピュアにして味わい深い料理に感嘆する。

現代的な内装と味わいに表現されたユニバース

2ヘクタールの敷地に伝統的な木組みの外観を持つメゾンが立つ。

 ランス郊外の町タンクー。なんの変哲もない町並みが続くこの町に、今春、一番の話題をさらったオーナーシェフ、アルノー・ラルマン氏率いるレストラン・ホテルがある。レ・クレイエールに先んじて、ミシュランの3ツ星を獲得し、「ただただ嬉しい」と顔をほころばせるラルマン氏。メゾンを創設した父を亡くし、家族総出で運営してきたひとつの結果だ。2009年にホテルとレストランともに、彼のユニバースを表現するコンテンポラリー・デザインな内装へと全面改装した。スタルク、ノルの家具、バカラのシャンデリアが輝くデザイン・コンシャスな空間の一方、今でも彼のママンや妹らがゲストをもてなす光景が見られる。

左:ラルマン氏は伝説的なシェフ、ロジェ・ヴェルジェ氏やミシェル・ゲラール氏のもとで修業。
右:高級ながらも寛げる雰囲気のテラスでシャンパンがすすめられる。

撮影=小野祐次
文=安田薫子