シュールな光景にびっくり！　
ホーチミンの隠れた名所、極楽遊園地

単に遊びだけじゃない
ベトナムの文化や歴史も学べる

遊園地を彩る、龍や獅子など伝説の動物たちが勢ぞろいの巨大オブジェ。

 そんなスイティエンテーマパークですが、テーマパークというだけあって、仏教、そしてベトナムの伝統文化や伝説をテーマとしています。

左：祀られるフン王も巨大。
右：アトラクションの入り口に設けられた閻魔王の裁判シーン。閻魔王ほか、すべての人形が電動で動く。

 たとえば園内にはいくつもの巨大な仏像がありますが、その前に果物が供えられたり、線香が焚かれたりと、本格的な信仰の対象としても機能しています。一見、お化け屋敷かと思えば、実は閻魔大王に裁かれた人々の地獄での様子を描いていたり、ベトナムでも神聖な動物とされる龍や、ベトナム建国の祖フン王をモチーフとしたオブジェが多数立ち並んだりと、園内のそこかしこにベトナムの信仰と文化が見事に融合されたアトラクションが揃っているのです。

左：金色に輝く大菩薩。
右：ベトナムの王族の衣装を着て記念撮影もできます。

 この遊園地、オシャレ感はほぼゼロですが、休日ともなれば小さな子ども連れの家族や、デートで訪れた恋人たちなどで大盛況。市内中心部ではなかなか見ることのできない、ベトナムの人々の素朴な生活が垣間見られます。

「グルメや癒しをとことん楽しむ」――そんな旅もよいけれど、これぞベトナムの魂とも言える一風変わった空間に、たまにはたっぷりと漬かってみるのもよいのではないでしょうか。

文・撮影＝杉田憲昭