ベトナム版シルク・ドゥ・ソレイユの楽しみ方

100名近くの応募者から選抜されたパフォーマーたち。全員20代の、ベトナムでも屈指の若手実力派がそろう。 (C) A O Show

 今、ホーチミン市で必見のパフォーマンス集団「ラン・フォー・エンターテインメント」。アクロバットやダンス、演劇などのアートパフォーマンスを融合した彼らの新感覚ショー「A O Show/アー・オー・ショー」が、2014年から定期公演を開始しました。そこで今回は「ベトナム版シルク・ドゥ・ソレイユ」ともたとえられるこのショーの魅力をご紹介します。

会場は1898年建設、ホーチミン市のランドマークでもあるオペラハウス。普段は中に入れないこの場所でパフォーマンスを観られるのも嬉しい。 (C) A O Show

 アー・オー・ショーは、2013年2月にホーチミン市のオペラハウス(ホーチミン市民劇場)で初公演されて以来、「A/アー」、「O/オー」と、ベトナム語の感嘆詞がついたその名の通り、これまでにない斬新なパフォーマンスで欧米人旅行客を中心に評判を呼んできました。

「ベトナムのパフォーマーは高い技を持つものの、形式的な劇ばかりで、その能力を生かせていない」と、後進の指導にも力を入れるトゥアン・レー監督。 (C) A O Show

 幼少の頃にドイツに渡り、かつてシルク・ドゥ・ソレイユでも活躍していたジャグリング・アーティスト、トゥアン・レー監督が描く世界は、ベトナムの古き良き美しい情景、そして都市化を果たし豊かな文化を育んだ現代ベトナムの姿。サーカスやスタントなど、各方面で活躍していた17名のベトナム人パフォーマーが、竹やベトナム伝統の籐籠をたくみに使いつつ、ベトナム南部の文化や人々の暮らしを舞台の上で垣間見せてくれるのです。

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文=杉田憲昭