スペインの小さな村で生まれたフランシスコ・ザビエル
聖フランシスコ・ザビエルといえば、日本にキリスト教をもたらしたイエズス会の宣教師としてよく知られた人物。歴史の授業で「以後よく(1549年)来るキリスト教」として年号を覚えた記憶のある方も多いのではないだろうか。そのころ日本に入ってきたヨーロッパ文化の多くがポルトガル経由だったこともあり、このザビエルもポルトガル人と思われていることが多いが、実際はスペイン・ナバラ地方の出身である。今回は、このザビエルの生まれ故郷を訪ねてみよう。
右:隣接の聖堂は、19世紀末の修復の際に新しく加えられたもの。祭壇に祀られているのはもちろん、聖フランシスコ・ザビエル。ミサも毎日行われている。
牛追い祭りで有名なパンプローナからバスで約1時間、ハビエル(Javier)という小さな村がその出身地だ。聖人の名前も、正しくはフランシスコ・デ・ハビエル(Francisco de Javier)、つまりハビエル出身のフランシスコ、という意味で、ザビエルというのはハビエルという言葉の当時の発音が日本風になまったものである。この村には、10世紀ごろに建てられた物見の塔を起源とするハビエル城があり、ザビエルの母方の家系がその所有者であった。1506年4月7日にこの城で生まれたザビエルは、19歳でパリに赴きソルボンヌに入学。そこで知り合った同じくスペイン出身のイグナチオ・デ・ロヨラと共にイエズス会を創立することになる。
その後、宣教活動のために、インドやマレーシアを経由して、1549年に日本に到達。2年間の活動を経て、さらに中国に布教の場を広げようとする途上の1552年に46歳で亡くなっている。
文・撮影=坪田みゆき