夕食前にグルメなミラノっ子が集う
BARの楽しみ方「アペリティーボ」って？

老舗BAR「Moscatelli」のアペリティーボ

 そんなアペリティーボを楽しめるお店をご紹介。

 おしゃれなお店が集まる地区にあるBAR「モスカテッリMoscatelli」、1859年から続く老舗です。シックなバーカウンターには地元の人や、この辺りで働く人がたくさん立ち寄ります。

左：常時10種類以上の総菜が並ぶビュッフェ。
右：セルフサービスで好きな総菜を取ります。

 アペリティーボは18時から21時まで、1ドリンク＋ビュッフェで8ユーロ。ビュッフェの料理は常時10種類以上、ハムやチーズに、野菜を多く使った前菜から、米やパスタの主食まであります。メニューは仕入れとコックさんのその日の気分によって毎日変わるという楽しさで、どれもお酒のあてに、すっと食べられるおいしさ。

左：ほかほか、ふわふわのフォカッチャ。キリリと冷えた白ワインと。
右：焼き立てのミニピザ”ピッツェッタ Pizzetta”。

 そしてここのおいしさはもうひとつ。併設するパン屋さんで焼き上げるほかほかでふわふわのフォカッチャが食べられること。これが本当においしいんです。種類も色々、チーズに、たまねぎ、トマト、ハムと、バリエーションがあって色んな味も楽しめます。お店に並んだ途端になくなるくらい人気のフォカッチャ。なくなるとまた焼いて次々にあつあつのフォカッチャを出してくれる気前の良さが、このBARの活気あふれる楽しい雰囲気につながって、楽しいお酒もすすみます。

外の席で夕暮れ時の風に吹かれながらのんびりと過ごすひとときは至福。

 昼が夜になるその間、仕事からプライベートの時間になるその間にちょっと息抜きの寄り道。一見無駄に思える寄り道ですが、そんな寄り道のほっとひと息つく時間は、心のゆとりをもたらしてくれます。

 ほんの少し寄り道をする時間をもしみつけたなら、アペリティーボはいかがですか？ その1杯がきっと心をほぐしてくれることでしょう。

藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー＆ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブック https://www.facebook.com/chococogogo

文・撮影＝藤原亮子