ヴーヴ・クリコのゲストハウスでスペシャルソワレを開催

諏訪綾子さんによるインスタレーション。本物の果実、野菜、花で造形的な作品に。「旅する蝶」がテーマ。

 2014年1月20日から3夜にわたり、ヴーヴ・クリコのゲストハウス、19世紀建造の「オテル・デュ・マルク」にて、スペシャルソワレが開催されました。ランス中央駅から車で5分。もともとは、マダム・クリコの後継者ヴェルレの私邸でしたが、今は、メゾンが特別なゲストを迎え入れるための館となっており、一般には公開されていません。サロンからゲストルームに至るインテリアからオブジェまでが、さまざまなアーティストの創り下しであり、唯一無二の創造的な空気が流れています。

インスタレーションに没頭する諏訪綾子さん。
五感に導かれるままにひとときを楽しんでという口上のあと、食事が始まる。

 ヴーヴ・クリコは240年もの伝統を誇るシャンパーニュ会社ですが、その名を今もなお世界へと知らしめているのは、マダム・クリコの存在に違いなく、亡き夫に代わって「エクセランス」を追求した先に、シャンパーニュの革新的な道を切り開いてきた人でした。例えば、瓶を毎日少しずつ回転することで澱抜きを行う方法(ルミュアージュ)を生み出して、透明なシャンパーニュを作ることに成功したのが、このマダム・クリコでした。その斬新な発想で、シャンパーニュの歴史を次々に塗り替えたといってもいい、革新的な精神をもつマダム・クリコ。そのマダムに通じる、優れた感性と行動力に満ちた女性たちをたたえ「クリコ・ウーマン」という称号が贈られますが、フードアーティスト諏訪綾子さんもクリコ・ウーマンという称号を授与されています。そんな彼女が、この度、オテル・デュ・マルクでのディナーを監修したのでした。

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文=伊藤文