情趣にあふれた湖、日月潭を一望する高台に立地

船のマストを模した、黄金に輝く弓なりのオブジェはダイナミックな印象を与える。高純度の金箔をふんだんに用いたという

 日月潭は、台湾のちょうど真ん中に位置する美しい湖である。

 湖の北側が太陽の形、南側が月の形をしているため、この風雅な名がつけられたのだという。その趣深い景色は、阿里山、太魯閣とともに、台湾の三大絶景に数えられている。

 その湖畔の風光明媚な高台に立つリゾートホテルが「日月行館」。この地には、戦前は台湾における天皇の邸宅があり、戦後、その建物は蒋介石総統の別荘となった。現在こちらは、最も美しい日月潭の姿を目に収めることができるスポットとして盤石の評価を誇っている。

 豪華客船を模した建物の幾何学曲線は、ごくモダンでありながら、周囲の自然とすんなり融合。外壁の全面にあしらわれた4000万球以上のLEDランプは、夜を迎えると柔らかい光を放ち、漆黒の日月潭に彩りを添える。

 そして、この建築のシンボルが、船のマストをモチーフとした巨大な黄金のオブジェ。その表面に惜しげもなく貼られた金箔の輝きからは、このホテルの比類なきクオリティの高さがビビッドに伝わってくる。

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