動物をかわいいと思えるかどうか不安だった

 元々、人懐っこいところはありましたね。おうちに来てすぐの頃からベッドにいる私の胸の上で寝てましたから。

 今は股の間で寝てます。必ず体のどこかを人間にくっつけて寝たがるから私は寝返りが打てないんですけど、真夜中になると私たちのベッドの下にある自分の寝床に移動しているみたいです。神も股の間は寝にくいのかな(笑)。

 そうそう、Z世代っぽいところでいうと、神はすごく空気を読むんですよ。朝、自分が起きても私たちが寝てると顔をペロペロしに来ない。「そろそろかな?」っていう時間帯になるとようやく起こしに来るんですけど、人間の方はもう少し寝ていたいときってあるじゃないですか。神はそれを察知して、起こすのをやめるんですよ。自分も二度寝したりして。そういうところがすごく繊細ですね。

 あと、運動神経はいいんだか悪いんだかわからない(笑)。ドッグトレーナーさんが月に1~2回おうちに来てくれるんですけど、その人に「この子は競技もいける」って言ってもらえるくらい運動神経がいいかと思いきや、興奮して立ったまま後ろにバタッと倒れたり、走った勢いで壁にドーンとぶつかったりもして。愛嬌のある子なんですよ。

――ドッグトレーナーさんに来てもらってるのは、しつけをきちんとしたいから?

 そうですね。今日のように仕事で外へ連れていくことも多いですし、自分以外の犬に手荒なところがあるというか。ドッグランに連れて行ったときにちょっとひやっとする場面が何度かあったので、ちゃんとしようと。人にもすぐ接触しに行くんですよ。

 だからコマンド(「おすわり」や「待て」などの合図)をちゃんと教えられたらいいなと思ったんです。この前、地元の北海道へ連れて帰ったときに人も動物もいない雪の中を自由にばーっと駆け抜けて気持ちよさそうにしてて。だけどコマンドを何も覚えてないから収拾がつかなくなっちゃって(笑)。

うちの子ベストショット(1)「酔っ払って床で寝たら仕方なく寄り添ってくれた」

――元々、旦那さんが犬好きだったそうですね。

 夫は実家でトイプードルを飼っていて「いつか犬を飼いたい」とよくこぼしてたんです。だけど、私は現実的じゃないよとずっと言っていました。散歩も絶対に定期的にはできないし、私は犬のお世話をできる人間じゃないし、そもそも動物をかわいいと思えるかどうか不安があって。

 ただ、2020年から2年弱パーソナリティをやっていたラジオでたまたま愛犬家の著名人をゲストに呼んで語るコーナーをやっていたんですよ。まだ犬を飼おうとか全然考えていなかった頃に。ゲストのみんなに「飼ってみたら?」と言われながらも無理だなと心の中では思ってたんですけど、保護施設からわんちゃん2匹を引き取った村上佳菜子ちゃんから「(犬との暮らしは)いいよ!」ってすーーごく勧められて。

 写真とかを見せてもらって、勧められた保護施設のインスタをなんとなくフォローしたんですよ。で、見ていたら、1匹、気になった子がいたんです。

――それが神くんだったんですね。

 そうなんです。飲み水の入った容器に顔を突っ込んだまま寝たりしてて……。なんというか、動物のかわいさがほんの少しだけわかった気がしたんです。それを夫に話したら、すぐに会いに行ってみようということになりました。

――当初、前向きではなかった気持ちを一変させたのは?

2023.05.31(水)
文=高本亜紀
撮影=石川啓次
スタイリスト=谷口 夏生
写真=バービー