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北欧のひとたちにとっては「パーツが安く手に入るお店」

 日本ではイケアと聞くと「家具や雑貨を買うお店」というイメージですが、DIYが大好きな北欧のひとたちにとっては「パーツが安く手に入るお店」でもあります。木の天板やキッチンの棚板、引き出しのパーツなどを買って、自分たちで自由に組み合わせているのです。

 デンマーク・コペンハーゲン在住のスティナさんのおうちでは、リビングルームにあるイケアの棚を自分たちでカスタマイズして使っています。イケアの収納棚の上に、夫のトーマスさんがつくったというシェルフを設置。家の雰囲気に合うように、イケアの扉には飾り(モールディング)をつけています。

 また、デンマーク・コペンハーゲン在住のリーネさんのおうちでは、ワードローブの枠組みと中の収納はイケアのPAX(パックス)。扉はインテリアに合うように、CPH Wood(コペンハーゲンウッド)という業者にお願いしてつくってもらいました。また、ペルニッレさんの家では、キッチンの収納はイケアのものですが、面材と天板は他の業者にお願いしてつくり替えてもらったのだとか。こんなふうにイケアの家具がそれぞれの家庭で、生まれ変わっているなんて、びっくりです。

 「イケアの家具は安くてデザインがいいものが多いけれど、北欧の多くの家庭で同じものを使っているでしょう? だから、わたしは少し手を加えるのが好きなの。そうしたら、自分たちらしくなるし、気持ちよく使えるでしょ?」とペルニッレさん。イケアの家具に馴染みがある北欧ならではの発想なのかもしれません。

 わが家のダイニングには、かれこれ5年ほど使っているイケアの収納棚があります。気に入ってはいるものの、そろそろ何か変化がほしいと思っていたところでした。ペンキで色を塗りかえるのもいいかもしれない。それに、取っ手をつけ変えたら新しい棚に生まれ変わりそうな気がしてきました。「カスタマイズする」という選択肢を持っていたら、イケアで買い物をするときはもちろん、すでに家にある家具たちも、見方が変わってきそうです。

桒原さやか(くわばら・さやか)

ライター・エッセイスト。「イケア」勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして6年働く。スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイストといっしょにノルウェー・トロムソに移住。1年半の滞在後、帰国し、現在は長野県松本市に在住。
Instagram @kuwabarasayaka

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