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ADHDの治療薬を服用してみる

 個人的には、ADHDの症状向けに処方された薬を服用することで、衝動的な行動や脳内の鳴りやまないノイズが劇的に減り、グッと集中しやすくなりました。頭がぼんやりしていて適切な言葉が出てこない、話している途中に何の話だったか忘れてしまうという悩みが少なくなり、人前で話すストレスが激減。怒りの感情がコントロールできなくなって、人にぶつけてしまうことも減りました。

 授業は集中できずに寝てばかり、些細な出来事でかんしゃくを起こしていた幼少期を思うと、もっと早く服用したかった!! という思い。それでも、薬ですべての困りごとが解決するわけではありません。自分が選択した環境で要求される能力(事務的な作業、家事、期限を守る、やる気を継続させることなど)には対策をしつつ、精神的負担を抱えながら付き合っていくことになります。

自分にぴったりの支援を探す。わたしの場合は……

 成人期の発達障害者を対象とした研究では、心理カウンセリング、コーチング、心理教育やマインドフルネスといった心理学的アプローチが、精神的健康の向上に役立つと言われています。とにかく、何らかの手段で、心の奥底に溜め込んでしまっている負の感情を浄化させる必要があるのです。世の中では、精神的なバランスが崩れてしまっている人を「メンヘラ」と揶揄する風潮がありますよね。わたしも診断がつくまでは、精神障害というものを触れてはいけないものとして、心のどこかで線引きしていたように思います。しかし、例えば心理学大国アメリカでは、カウンセリングが日常的に利用されています。身体の状態によってメンテナンスのためにジムや整体に通うように、心(脳)の状態にも適切なメンテナンスが必要なのです。

 心理カウンセリングでは、カウンセラーとの対話を通して、自分でも気付かなかった過去の傷付き経験と向き合ったり、自分の中の偏った考え方やネガティブな思い込みに気付いたりすることができます。過去は学びの宝庫ですが、一人で考え込んでいると辛い記憶を堂々巡りしてしまったり、偏った考え方に引っ張られてしまったりすることがありますよね。

 私の場合は、誰にも話せずにいた、いじめられていた過去についても、カウンセリングを通して整理することができました。何かのきっかけで思い出すことがあっても、以前のように心がズキズキしなくなり、過去のひとつとして語れるように。また、なにか失敗をするたびに深く落ち込みやすかったのですが、落ち込んだ時に自動的に湧き上がってくる思考を見つめることで「だからわたしはダメなやつなんだ」と、自分を過度に一般化をしてしまっていたことに気が付いたり。出来事相応の軽めの反省に修正していくことで、次に失敗しないための対策に切り替えることに、気持ちをフォーカスできるようになっていきました。

2023.02.28(火)
文=コッピーちゃん