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 秋が深まってきて、スイーツ好きは栗の話題でもちきり! では、実際、栗の産地の様子は?

 年に一度、栗好きたちが全国から集まる長野県・小布施を訪れました。

 そもそも長野には北の小布施栗、南の信州伊那栗があり、長野自体が栗の産地。特に小布施栗の歴史は古く、江戸時代には将軍に献上されたといいます。見た目にも堂々と輝き、加熱すればホクホク、甘みがぎゅっと凝縮された逸品です。

朱雀ファンは8月からシーズン開幕

 まずは、小布施の街の中心に位置する「小布施堂本店」で、小布施栗を堪能できる「朱雀特別コース」を。以前は行列も風物詩でしたが、現在は全席予約制になっています。

秋を感じさせる風景がモチーフの生菓子「雁ノ山」

 最初に目の前に登場するのは和菓子「雁ノ山」です。

 小布施からのぞむ「雁田山」をこしあんで表現し、うっすらと暮れた空を表す部分はすべて栗あん。きめこまかく繊細な新栗の舌触りが身上です。信州の風情ある景色で始まるコースが幕を開けます。

やさしい、旬の料理が揃う一ノ膳

 「朱雀特別コース」のお料理は時期によって内容が変わります。甘い生菓子のあとに小休止、滋味深く、信州らしい小さなお料理を3品いただきます。

 秋らしい菊の花びらと葉を、マグロなどの魚と和えたもの。魚は時期によって変わることがあります。

 薄い湯葉の下には、貝柱やにんじん、しめじなどが。たっぷりとあんをかけ、温かく。少しずつ冷え込む時期にうれしいひと品です。

 薄切りの牛肉の下には、ごく細切りの野菜がたっぷりと隠れています。シャキシャキとした歯ごたえとやわらかな牛肉がぴったり。

2022.10.05(水)
文=CREA編集部
写真=鈴木七絵