誰しも癒やしを求めて、旅に出たくなるときがあるだろう。

 そんな旅人をおおらかに、そして包み込むように迎えてくれる沖縄。美しい祈りが息づく島の聖地をご紹介。


琉球王国最高の聖地へ

◆斎場御嶽(せーふぁうたき)
[南城市]

 沖縄には約900もの御嶽がある。なかでも本島南部の斎場御嶽は、琉球の創生神であるアマミキヨが創ったとされる“琉球王国最高の聖地”だ。

「斎場とは、清らかな場所という意味です。ここでは聞得大君(キコエオオキミ)という最高位の神女の就任の儀式が行われていました」と話すのは、ガイドの藤原明美さん。

 昔は男子禁制で、神の許しなしには国王ですら入ることはできなかったといい、それくらい神聖なものとして大切に守られてきた御嶽なのだ。

 参道の入り口である御門口(ウジョウグチ)で一礼し、ゆっくり御嶽へ足を踏み入れる。すると、鬱蒼と生い茂る亜熱帯の木々が迎えてくれた。

 静かな森の中に響くのは、鳥や虫の囀り。ひんやりとした澄んだ空気が、ここが神聖な場所なのだと感じさせてくれる。

 世界遺産に登録され、多くの旅行者が訪れるようになったが、地元の人々にとっては、今も変わらず日々の祈りを捧げる場所。

 森の中の石畳を歩きながら、御嶽内の6つの拝所で静かに手を合わせれば、この土地が永く守られてきたこと、そしてこの場所に来られたことに、自然と感謝したくなる。

斎場御嶽(せーふぁうたき)

所在地 沖縄県南城市知念字久手堅地内
電話番号 098-949-1899(緑の館・セーファ)
拝観時間 9:00~17:30(夏季・3月~10月は18:00まで)
定休日 旧暦5月1日~3日、旧暦10月1日~3日
拝観料 300円
https://okinawa-nanjo.jp/sefa/
【ガイドの予約】
緑の館・セーファ、またはアマミキヨ浪漫の会(https://amamikiyo.jp/)にて。
◯定時ガイド(土・日曜・祝日限定) 300円
◯予約ガイド 2,000円

Text=Saori Goya
Photographs=Takashi Shimizu