STEP 1 「気がついたこと」を書き出す

 展示室に鉛筆と紙を持参し、気がついたことをメモしながら作品を見ていきます。書くことで、ただ眺めるよりも多くの情報を引き出すことができますよ。

 どんなに些細なことからでもいいのでなにか1つ2つ書き出してみると、それを皮切りに徐々に様々なことに気がつくはずです。

 私はこんなことを書き出しました。

- 作品がたくさんある
- ピンク
- 点々にいろんな色が混じっている(黄色、緑、青など)
- 空はぜんぶ水色

 「気づいたこと」は良いことばかりでなくても構いません。思ったことは正直に書いてしまいましょう。

- あんまり近づいて見たくない
- 桜のピンクや空の水色に透明感がなく、人工色っぽい
- 木の幹や枝が分断されていて構造がおかしい
- 機械を使って描いてもよかったのでは?

STEP 2 「どこからそう思った?」「そこからどう思う?」と問いかける

 STEP 1で書き出したことについて、「どこからそう思ったのか」「そこからどう思うのか」を考えます。自分の考えを引き出すことができますよ。

- 点々にいろんな色が混じっている → 使われている色のパターンが同じだから、離れてみるとどの絵も似たように見える
- 空はぜんぶ水色 → 現実の空の色はいつも水色ではなく刻一刻と変わるはず。だとすればこれは現実の風景ではなくて、作者の頭の中の世界なのかも?
- あんまり近づいて見たくない → 1つ1つの絵画作品として見るのではなく、離れて部屋全体の雰囲気を感じてみてはどうだろう?

STEP 3 「もしもそうでなかったら?」と考える

 STEP 1、STEP 2で出てきた見方を「もしもそうでなかったら?」と否定してみます。違った角度から作品を捉え直すことができますよ。

- これは桜ではない?
- 点々の部分は実は作品のメインではない?

 そこからこう考えました。

- 点々によって、下にある「なにか」を覆い隠そうとしているのではないか?
- 色とりどりの点々を身に纏って個性を出そうとしているのかもしれない。メイクやファッションみたいに。
- 個性を演出しているつもりでも、点々をつければつけるだけ、遠目から見るとどれも同じに見える。

2022.03.15(火)
文=末永幸歩
撮影=深野未季