隆起珊瑚礁でできた沖永良部島は島そのものが見どころ

 石灰岩で覆われたなだらかな段丘が連なる沖永良部島は、約70万年前から隆起し続ける珊瑚礁でできた島といわれる。

 その地勢が、白浜とコバルトブルーの海が美しいビーチも、押し寄せる波と雨風に侵食されたむき出しの岩礁が荒々しくも壮大な海岸線の異形をも生む。

 “潮吹き洞窟”の異名をもつ巨大な洞穴、フーチャは、台風や季節風でひと度海が荒れれば海水を数十メートルも吹き上げ、数キロ先の耕作地に塩害を及ぼすという。

 人為の及ばぬ自然の力。だからこそ畏敬を感じさせる美しさに人は魅入るのだ。

 近くの集落にある、国頭小学校の校庭で子どもたちの歓声とともに育った樹齢123年のガジュマルも是非訪ねたい。大きさ日本一、青空に大きく枝を広げる姿は実におおらかで、その姿に心が和む。

 さらなる自然の驚異は島の地下に。沖永良部島を訪れる多くの観光客のお目当ては、ケイビング(洞窟探検)だ。石灰岩の大地の下には、何万年もの時をかけて形成された無数の鍾乳洞が広がっている。

 ガイドとともに地下水の流れをぬって探索する空間は未知なる別世界。この島で目にし、肌で感じる自然は、まさに地球との対面。

 日常の時間の尺度をはるかに超えた、地球の時間軸に触れる島時間に、浮世を忘れて浸りたい。

Text=Chiyo Sagae
Photographs=Atsushi Hashimoto