異なる歴史をもつ南部鉄器の二つの産地。

 それぞれの仕事に誇りをもち種類で楽しませ、地元の雇用を支える方法と父の心を受け継いで作り続ける流儀と。

 いずれも、長く楽しめる良品に違いはない。おすすめの2店をご紹介。今回は水沢で150年以上の歴史を持つ及源鋳造へ。


鉄で調理する愉しみを、多くの人に

◆及源鋳造(オイゲンチュウゾウ)

 新幹線・水沢江刺駅を降りると、駅前には鉄瓶の技法が学べる「奥州市伝統産業会館」があり、歩き出せば電柱や郵便ポストに装飾として鉄瓶の置物が設置され、横道を入れば鉄器の工場が何軒も確認できる。

 10分ほどで到着するのが、嘉永5年(1852)創業の及源鋳造。2015年にリニューアルしたファクトリーショップに貼られた鍋・釜のレトロな商品リストが歴史を感じさせる。

 1970年代からデザインの重要性を感じ、紫波町在住のクラフトデザイナー廣瀬慎氏と組んだシリーズは、今も作り続けられるロングセラー。

 環境にも配慮した無塗装のシリーズは、品質基準の厳しいドイツにも輸出されている。すべて隣接の工場で作られたメイド・イン・水沢だ。

及源鋳造(オイゲンチュウゾウ)

所在地 岩手県奥州市水沢羽田町字堀ノ内45
電話番号 0197-24-2411
営業時間 9:00~17:00
定休日 水曜
https://oigen.jp/

Feature

盛岡と水沢、それぞれの南部鉄器
鉄器がもたらす、豊かな暮らし

Text=Akiko Hino
Photograhs=Wataru Sato