『風の谷のナウシカ』が大好き

 美智子さまの才能を受け継いでか、紀宮さまは幼いころから文学や芸術への関心が高かった。中等科の学芸会では映画「ローマの休日」のようなストーリーの「レディ・アンを探して」というお芝居の脚本を担当。学習院ならではの難解な漢字テストでも常に1、2位を争っていた。

「ミーヤは宮崎駿のアニメ、なかでも『風の谷のナウシカ』が大好きでした。ナウシカのグッズや本が欲しくても、自由に買い物ができないから、とっても申し訳なさそうにお友だちに『いいかしら……』と頼まれるんです。みんな、ミーヤのお小遣いの範囲で、見繕って買っていましたよ」

 東宮御所のなかでスタジオジブリのフィルムによる新作上映会が行われたこともあるという。「暴れん坊将軍」や「銭形平次」などの時代劇がお好きで、御所の職員に配役したことも。さだまさしのコンサートに行ったりと、年齢のわりに渋好みの一面もお持ちだった。もっとも、最近は「冬のソナタ」のビデオなども、ご覧になるという。

 

秋篠宮さまは「兄二人よりしっかりしている」

 いつの頃からか紀宮さまは、皇后美智子さまの最大の理解者となっていった。

 93年に美智子さまが声を失われた時も、紀宮さまが“通訳”をつとめた。筆談や、かすかな息のような声からも皇后陛下のご意思をくみとられたという。また、2003年、天皇陛下は前立腺ガンの手術を受け、医師団によって病状の詳細が明らかにされた。このことについて問われ、紀宮さまは次のように答えている。

「(病状の公表は)初めてではなく、皇太子さまご出産の3年後、皇后さまが胞状奇胎によるご流産をなさった時から一貫してこられたことでした。当時、皇室では流産自体が公表されることの無かった時代で、しかも、悪性化する可能性があるとともに胞状奇胎発病後は再度の妊娠が難しいとさえ一般に思われていた中での発表は、その後2年間、次のご懐妊をお待ちにならなければならなかった皇后さまにとり、どれだけお辛いことであっただろうと想像されます。それでも、できるだけ国民から病状を隠さないという、陛下のお考えに添って発表が行われています」

2021.11.26(金)
文=友納 尚子